1999 Fiscal Year Annual Research Report
シンプレクティック多様体の構造論と新しい不変量の定義
Project/Area Number |
09874018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
榎 一郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20146806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅原 雅顕 広島大学, 理学部, 教授 (90193945)
満渕 俊樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80116102)
竹腰 見昭 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20188171)
新田 貴士 三重大学, 教育学部, 助教授 (20202244)
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Keywords | シンプレクティック多様体 / 間隙定理 / ケーラー多様体 / 代数多様体 / ディラック型作用素 |
Research Abstract |
引き続き,コンパクトシンプレクティック多様体に対する間隙定理の証明を考えるともに,本年度は,コンパクトシンプレクティック多様体上の可微分直線束に対するコホモロジィ群を定義することを試みた.これは,『任意のコンパクトケーラー多様体は,射影代数多様体まで変形可能である』ことの証明と密接に関連する.昨年度までの研究により,この問題は,適当な意味で十分正な可微分直線束に価を持つ微分形式に対するディラック型方程式の解の重み付きL2評価に帰着されることは,解っていた.当初は,この方程式は,常に解けると考えていたが,解の存在に対する障害が存在することが,解った.障害の空間は有限次元で,一点で与えられた位数以下の極を持つディラック型方程式の解の空間と同一視される.この空間により,コンパクトシンプレクティック多様体上の可微分直線束に対するコホモロジィ群が定義できる可能性があることが解った.上述の障害空間は,問題のディラック型作用素の適当なL2空間での随伴作用素の解空間である.解の存在と評価は,この場合楕円型作用素の,0固有値が存在する場合の,次の0でない固有値の絶対値の下からの評価に帰着される.通常,固有空間自体は,不安定であるため,この評価は不可能である.ケーラー多様体の変形の問題の場合には,一般のデータに関して方程式を解く必要はなかった。しかしコンパクトシンプレクティック多様体に対する間隙定理の場合には,もう少し一般のデータに関して方程式を解く必要があり,ケーラー多様体の変形の問題の場合の証明は,そのままでは,適用できないことが解った.
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