1997 Fiscal Year Annual Research Report
オプティカルストカスティック冷却法の実験的基礎研究
Project/Area Number |
09874062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野田 章 京都大学, 化学研究所, 教授 (20114605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 敏之 京都大学, 化学研究所, 助手 (50252507)
岡本 宏巳 京都大学, 化学研究所, 助手 (40211809)
岩下 芳久 京都大学, 化学研究所, 助手 (00144387)
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Keywords | ビーム冷却 / 広帯域光学増幅器 / 挿入光源 / 大強度自由電子レーザー / シンクロトロン放射 |
Research Abstract |
オプティカルストカスティック冷却法は、THzオーダーの超広帯域が利用できるため、従来のマイクロウェーブ技術を駆使した、ストカスティック冷却法(確立冷却法)と比しても、極めて冷却効率がよいと期待され、超高エネルギーの陽子やイオンにも適用可能で、LARGE HADRON COLLIDER(LHC)への適用も含めて、最先端の加速器開発に直結しており、実験的研究が嘱望されている。しかしながらハドロンビームに対してこの冷却法を用いるためには可成りの高エネルギーまでの加速が不可欠であり、方法そのもののフィージビリティースタディーは必然的に電子ビームで行わざるを得ない。その際、高エネルギーの電子リングでは、ラディエーションダンピングの効果が大きいため、オプティカルストカスティック冷却法によるビーム特性の改善を検証する上で困難がある。本研究では、KSRに入射された100MeVの電子を用い、ラディエーションダンピングタイムは、ビーム冷却の時間に比して充分長いので、実験的な検証が可能となる。また、KSRは5.6mと比較的長い直線部を有している。本研究では、この長い直線部に永久磁石で構成される挿入光源を設置し、発生される放射光のスペクトルを観測すると共に、光学増幅素子の利用により実現できるフィードバックループの利得を実験的に測定し、オプティカルストカスティック冷却法で実現可能な冷却時間を推定する。本年度は、その準備としてKSRへの電子入射の準備を進めつつ、クライストロン等強烈な電気雑音の存在下で、検出した放射光のスペクトルを電気信号に変換して、データの取り込みを可能とするために、光伝送を用いて電気的に絶縁された計測システムの構築を進めてきた。オプティカルストカスティック冷却法については、その長時間にわたる安定性の問題が、専門家から指摘されているが、来年度は、こうした課題の実験的解明を目指す。
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[Publications] A.Noda et al.,: "Stretcher Mode of KSR" Proc.of the 11th Symp.on Accelerator Science and Technology,Harima Science Garden City,Hyogo,Japan. 59-61 (1997)
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[Publications] H.Tongun, A.Noda et al.: "Present Status of the Vacuum System for KSR" Beam Science and Technology. 3. 15-17 (1997)
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[Publications] T.Shirai, A.Noda et al.: "Design of the Injection Line for KSR" Beam Science and Technology. 3. 27-30 (1997)