1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09874069
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山谷 和彦 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (80002054)
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Keywords | 擬一次元伝導体 / 電荷密度波 / 位相 / 超伝導体 / ジョセフソン効果 / 近接効果 |
Research Abstract |
本年度の研究実施結果は次のように要約される。 1) CDW-CDW接合素子における再現性実験:素子および熱サイクル依存性を調べた結果、実験データに再現性が得られず、自然圧着法による接合素子は不適格と結論された。同様に、他の接合系であるCDW-超伝導、超伝導-超伝導系においても不適格であることが判った。 2) 集束イオンビーム法によるマイクロブリッジの試作:ガリュムイオンを用いた集束イオンビームでNbSe_3単結晶においてマイクロブリッジの作製を試みた。長さ1μm、幅0.4μm程度のマイクロブリッジを作製することが可能であるこが判った。それを含んだNbSe_3の電気抵抗の温度依存性を初めて測定した結果、NbSe_3特有の2段CDW転移が観測された。これはマイクロブリッジにおいてもバルク同様の性質が保有されていることが証明された。4.2Kの低温における電流-電圧特性の測定が進行中である。 3) リング状NbSe_3単結晶の作製:通常、NbSe_3の単結晶は1次元のひげ状であるが、我々はリング状の単結晶がひげ状結晶作製課程において成長していることを発見した。X線、電子線回折によるCDWのQベクトルの確認、電気抵抗の温度依存性とその異方性、非線型伝導の確認からひげ状結晶と同一結晶であることが判明した。さらにリング状結晶を用いて2経路に分岐して流した電流はCDWの並進運動に伴なって他の経路に流れている電流に影響を与えることが初めて観測した。これはCDWの干渉効果による可能性があり、リング状結晶がCDWの位相に関する物理学を構築する上で極めて重要な幾何学的構造であることを示している。今後、研究の大発展と展開が期待される結果を得ることができた。
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Research Products
(1 results)