1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09874072
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金道 浩一 大阪大学, 極限科学研究センター, 助教授 (20205058)
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Keywords | 帯磁率 / ノンヘム鉄 / 光合成 / PSII / パルス磁場 / 結晶場定数 |
Research Abstract |
本年度は、本研究で開発された高感度の帯磁率測定装置による研究で、光合成光化学系II(PSII)におけるノンヘム鉄の磁性に関する知見が得られた。 PSIIの電子受容体の二つのキノン間にはノンヘム鉄(Ee^<2+>が存在する。このノンヘム鉄は光化学系に重要な働きをすると考えられているが、その詳細については未だ不明である。そこでノンヘム鉄の電子状態を知ることが望まれているが、PSIIの磁性が非常に小さいため、これまで実験が困難であった。一方、PSIIの電子受容体と類似の構造を持つ光合成バクテリアは、その結晶化に成功しているため、結晶構造は良く知られ、そのノンヘム鉄の結晶場定数なども帯磁率測定からButlerらによって求められている。 本年度、我々の開発した高感度帯磁率測定装置を用いる事により、PSIIノンヘム鉄の帯磁率測定に初めて成功した。ポイントは、ノンヘム鉄を非磁性化処理したPSIIとの差分測定を行うことによってノンヘム鉄の帯磁率のみを測定することが可能となった点であり、これはたとえSQUIDが本装置と同程度の感度を有したとしても測定することが困難であることを意味している。温度変化の測定結果より結晶場定数はD=5.5±1.0cm^<-1>、E=1.5±0.5cm^<-1>と求められた。この値は、光合成バクテリアについての実験から求められた結晶場定数とほぼ一致しているとともに、最近、NugentらによってESR測定から求められたPSIIノンヘム鉄の結晶場定数とも良く一致している。
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