1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09874079
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関本 謙 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (00179342)
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Keywords | アロステリック転移 / 分子モーター / エネルギー変換 / stochastic energetics / 熱揺動 / 加水分解 / ミオシン / キネシン |
Research Abstract |
本研究で目指したのは、ミクロな揺ぎの世界における自由エネルギーの実体は何か?ミクロな対象間で仕事をするとはどういうことか?を実直に追求し、タンパク質分子モーターにおける自由エネルギー変換と制御のメカニズムを立体構造に即してサブタンパクレベルで明らかにすることである。採用した方法論は、まず(a)タンパク質モーターのおかれたミクロな揺ぐ世界の特徴づけ(すなわち、‘量子効果は無視できるという意味でマクロだが、個別の過程で揺ぎを無視できないために熱力学を直接適用できないという意味でミクロ')をおこない、次に(b)その世界における本質的な問題に焦点を絞ること、である。(b)の内容は(1)ATP分子に比べて大きなタンパク質サイズの分子変形をうみだすメカニズムは何か、(2)利用可能な加水分解エネルギーのうち、エントロピー由来の部分がタンパク質内のアロステリックな相互作用を介してどのように仕事に変換されるか、(3)3つのサイクルすなわち加水分解反応、コンフォーメーション変化、及びフィラメント(アクチンまたは微小管)との着脱が互いにタイミングを制御するメカニズムは何か、の3点について、立体構造の知見および1分子計測の知見に照らしながら考察をすすめた。その結果、それぞれの問いに関して概念レベルのモデルはおおむね見え、構造生物学者の賛同も漸く得られるようになった。今後は、タンパク質3次構造を具体的に反映した実証的モデル化を目指す。またミオシン・キネシン・ダイニンにおける動的機能にはいくつか「不思議な」実験結果があり、これらについても実体を捕えた理論を考えてゆく。
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[Publications] Yoshimi Tanaka: "Discontinuous Crack Fronts of Three-Dimensional Fractures" Europhysics Letters. 43・6. 664-670 (1998)
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[Publications] Ken Sekimoto: "Gels under strong deformation" Physica A. 249・1-4. 262-265 (1998)
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[Publications] Ken Sekimoto: "Langevin Equation and Thermodynamics" Progress of Theoretical Physics,Supplement. 130. 17-27 (1998)
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[Publications] Ken Sekimoto: "Complementarity Relation for Irreversible Process Derived from Stochastic Energetics" Journal of Physical Society of Japan. 66・11. 3326-3328 (1997)
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[Publications] Ken Sekimoto: "Kinetic Characterization of Heat Bath and the Energetics of Thermal Ratchet Models" Journal of Physical Society of Japan. 66・5. 1234-1237 (1997)
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[Publications] Ken Sekimoto: "Contraction of a Bundle of Actin Filaments: 50 years after Szent-Gyorgyi" “Current Topics in Physics"Eds.by Y.M.Cho,J.B.Hong,and C.N.Yang. 1. 394-405 (1998)
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[Publications] 関本謙: "「形の科学事典」(分担執筆項目‘ゲルのかたち')" 朝倉書店, 2 (2000)