1997 Fiscal Year Annual Research Report
多体disk模型による介在物が存在するすべり現象の解明
Project/Area Number |
09874081
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平田 隆幸 筑波大学, 物理工学系, 講師 (20202278)
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Keywords | すべり現象 / 多体disk / フラストレーション / スティック・スリップ / 1 / fゆらぎ |
Research Abstract |
すべり面間の介在物をdiskによってモデル化したすべりの多体disk模型を通して、ミクロな素過程からマクロなすべり現象を明らかにする研究をおこなった。すべり面間に(ここでは、同軸の円筒間に)アクリル製のdiskをランダムに充填したモデル実験をおこなった。同心円の2つの円筒の間diskを詰め込むことにより、繰り返しすべり実験をおこなうことができた。トルクモーターをもちいて外側の円筒を一定角速度で回転させ、システム全体の挙動を計測するために内側の円筒にかかるトルクの計測をおこなった。同時に、ビデオカメラを用いることにより、個々のdisk挙動を計測した。これらの実験により、diskの接触ネットワークの構造と系全体の挙動を明らかにすることを試みている。実験で得られたトルクの時系列のスペクトラム解析をおこなった。その結果、系にかかるトルクの時系列は1/(fα)ゆらぎをもつことが明らかになってきた。非線形科学における1/fスペクトラムの発生の雛形モデルの一つになる可能性を秘めており、disk層の厚さ(2〜5層)を系統的な変えた実験をおこなうことにより1/fスペクトラム発生の解明をめざして研究を進めている。また、diskの接触ネットワークをビデオ画像だけから詳細に調べることは困難である。実際に接触しているかあるいは非常に近接しているので一見接触しているように見えるだけで実際は接触していないかを区別するのが難しいからである。それゆえに、個々のdiskの接触状況を光弾性をもちいて計測するシステムを開発中である。
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