1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09874085
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
前田 敏輝 石巻専修大学, 理工学部, 講師 (80202307)
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Keywords | 高分子 / 気水界面 / 複雑液体 / 粘弾性 / 準弾性光散乱 / 表面レーザー光散乱 / ラングミュア膜 / LB膜 |
Research Abstract |
適切な分子構造を持つ高分子の溶液を水面上に滴下すると,溶媒の蒸発の後に高分子鎖が気-水界面に吸着して,いわゆる「単分子展開膜(L膜)」が形成される.本研究では,高分子L膜を擬二次元的な溶液と見なし,光散乱の方法によってその構造や動力学的な振舞いを明らかにすることを目的としている.本年度はおもに高分子L膜の粘弾性特性を評価するシステムを構築するため,以下の項目について研究を行った. (1)表面レーザー光散乱(SLLS)分光システムの試作. 表面波による散乱光の光ヘテロダイン法による分光システムを設計し,光学系の組立,水槽の改造等を行った.スペクトルのモニターとしてFFTアナライザを購入した(今年度設備備品).現在は,テストとして清浄水面の熱揺らぎ表面波の測定を試みているが,外乱となる振動の除去に苦慮しており防振系の改良が必要であることが判明した.また,表面波スペクトルのS/N比を向上させる手段として,表面波の変調分光法の開発も計画中である.分光システム及び水槽の改良は来年度も継続して行われる. (2)高分子試料および展開条件等の選択. 本研究では,水面上に展開可能な高分子試料と,形成したL膜が液体膜となる条件(温度,表面圧など)を見いだすことが要求された.PMMAは比較的容易にこれらの条件を満たすことがわかったが,今後膜の均一性等の評価が必要である.現有の水槽では温度の可変範囲が狭いため,テスト可能な高分子試料が限定されているのも問題である.現在,SLLS分光による局所的な表面張力の測定を行って,L膜の均一性の評価を試みている.
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