1998 Fiscal Year Annual Research Report
進化の測定:量的遺伝学の手法を用いた化石記録の解析
Project/Area Number |
09874098
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
千葉 聡 静岡大学, 理学部, 助教授 (10236812)
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Keywords | 形態進化 / 化石記録 / 海面変動 / 適応 / 表現型 |
Research Abstract |
(1) 小笠原諸島の陸生貝類カタマイマイ属について、更新世から完新世にかけての化石を採集し、その形態解析を行った。解析結果から、形態進化の速度とパターンを明らかにした。形態進化は急速に変化する時期と、ほとんど変化のない安定期の繰り返しによって特徴づけられる。多くの系列でほぼ同時に変化が生じており、その変化の時間的なパターンは、ほとんどの系列で共通している。形態の変化と同時に生態的な性質(ニッチなど)も変化していることが、現世種の生態的な性質と形態の関係から推定された。さらにミトコンドリアDNAにもとづく系統解析から、このグループで急速な形態変化が生じていることが示された。この結果は、化石記録から得られた結論と整合的である。またこのグループは、形態のみならず、ミトコンドリアDNAのレベルでも著しく急速な進化が起きていることが明らかになった。島という隔離された場所に生息する小集団であることが、この急速な変化の原因と考えられる。 (2) 琉球列島の喜界島から産出する3種の陸生貝類化石の年代測定と形態解析、ならびにその遺伝学的な検討によって、これらのグループの更新世以降の形態進化の様式について考察した。その結果、これらのグループの形態変化は主にサイズの劇的な変化によって特徴づけられ、サイズの変化に連動して形が変化していることが明らかになった。またこの変化のパターンは、更新世の気候変化(海面変動)のパターンと整合的であり、このことから過去の環境変化がこのグループの形態の時間的変化の原因であると結論できた。
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[Publications] CHIBA,S: "Synchronized evolution in lineages of land snails in oceanic islands" Paleobiology. 24. 99-108 (1998)
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[Publications] CHIBA,S: "A mathematieal model for long term patterns of evolution." Paleobiology. 24. 336-348 (1998)
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[Publications] CHIBA,S: "Genetic variation derived from natural gene flow between sympatric species." Heredity. 80. 617-623 (1998)
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[Publications] CHIBA,S: "Accerelated evolution in land snails Mandarina in the Bonin Islands." Evolution. 53(印刷中). (1999)
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[Publications] Hayashi M: "Intraspeeific variation in mtDNA in the species of land snail Euhadra peliomphala" Biological Journal of the Linnean Society. 63(印刷中). (1999)
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[Publications] Hayakaze E: "Historical changes in shell width of land snails in the island Kika" American Malacological Bulletin. 15(印刷中). (1999)