1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09874100
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋元 明彦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30261275)
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Keywords | 太陽系 / 星雲 / 水素 / 蒸発 / 惑星物質 / 反応速度 / 解離 / カンラン石 |
Research Abstract |
太陽系初期の高温の環境下では、星雲ガスと固体または液体粒子との間で生ずる反応が惑星物質の化学進化を決定したと考えられている。星雲ガスの圧倒的な主成分である水素ガスとこれら凝縮粒子の化学反応は最も重要である。この問題は、物理条件をコントロールして水素と惑星物質の化学反応速度を定量的に測定することに尽きる。本年度は次の点において進展があった。 (1)原始太陽系の一般的圧力条件(10^<-8>-10^<-3>気圧)に対して、10^<-5>-10^<-3>気圧の条件を達成できる、ミクロ流量計と大排気量の高真空ポンプを備えた高温炉を製作した。本装置は同上の水素圧力をコントロールし、1600℃までの高温で反応を進行させることができる。また生成ガスのサンプル表面への再凝縮率を10%以下に抑えることに成功した。これにより当初の目論見通り、絶対反応速度を実験から求めることができる。 (2)固体惑星物質のうち最も大量に存在するカンラン石をサンプルとして選び、水素ガスとの高温化学反応を調べた。その結果、水素圧2x10^<-4>気圧では、水素なしの環境でカンラン石が分解反応によって蒸発する速さ(真空蒸発速度)に比べて、約1000倍の速度で蒸発反応が進行することが明らかとなった。また水素圧を変化させて行つた定量実験により、反応の次数は1/2であることが判明した。これは水素分子が解離して生じた水素原子が実際の反応に関与していることを示唆している。 (3)さらに水素との反応によって生ずる同位体質量分別を明らかにする目的で、隕石中に存在するBタイプのCa,Al-rich inclusionsと水素ガスの反応実験を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hashimoto,A.: "Chemical and isotopic constraints on the dynamic recyding of ttu nebular materials." Antarctic Meteorites. XX11. 49-51 (1997)
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[Publications] Hashimoto,A.: "Chemical and isotopic constraints on the dynamic recyding of nenebular materials-II." Meteorities and Planetary Science. 32. A56-A56 (1997)
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[Publications] Wang,J.: "Evaporation of single crystal forsterite" Geochim.Cosmochim.Acta.(in press). (1998)