1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09874115
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
魚崎 泰弘 徳島大学, 工学部, 助教授 (90160225)
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Keywords | 超臨界流体 / 有機電荷移動錯体 / 溶解度 / 結晶化 |
Research Abstract |
現有設備である高圧光学セルを利用して超臨界二酸化炭素中での電子供与体と電子受容体の溶解度をそれぞれ単独で313.2Kと323.2Kにおいて35MPaの圧力まで測定を行なった。電子供与体としてはヘキサメチルベンゼン(HMB)、電子受容体としてはテトラシアノエチレン(TCNE)を選んだ。いずれの溶質も温度一定では、圧力上昇に伴い二酸化炭素の臨界圧力以上で溶解度の急激な増加が観測された。また、一定圧力では温度上昇に伴い溶解度が増加することも分かった。これらの結果から、有機電荷移動錯体の結晶化において高圧容器内に仕込む各溶質の設定量を明確にすることができた。 次に、特注の高圧容器とHPLCポンプを組み込んだ高圧システムの構築を行い、高圧容器の温度制御の安定性などについて検討した。また、高圧容器に接続している微量流量調節バルブからの流体の排出流量の制御について調べた。 これらの結果を踏まえて、超臨界二酸化炭素中313.2Kの温度でHMBとTCNEを圧力30MPaで溶解平衡させた後、微量流量調節バルブから流体を徐々に排出後、容器内に最大5mm程度の長さを持ったHMB-TCNEの電荷移動錯体の結晶が確認された。まだ、予備的な実験段階であるが、かなり短時間に電荷移動錯体の結晶化が出来た。今後、温度・圧力・排出流量速度について詳細に検討を行ない、この系に関し最適条件を確立する。また、他の電子供与体と電子受容体の組み合わせについても検討する。
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