1998 Fiscal Year Annual Research Report
パルス超音速分子線中の短寿命種測定のための高分解能フーリエ変換分光システムの開発
Project/Area Number |
09874116
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 武彦 九州大学, 理学部, 教授 (00011586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今城 尚志 九州大学, 理学部, 助手 (40213227)
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Keywords | フーリエ変換分光 / パルス現象の測定 / 新しい原理 / 超音速分子線 |
Research Abstract |
フーリエ変換分光器はパルス現象の観測には不向きと見なされているが、これを実現する手法として既に実現されているステップスキャン法等とは全く異なる新しい原理に基づく方法を考案した。本研究は、この方法の実証研究を行うことを目的とする。 現有の連続スキャン方式のIFS120HRフーリエ変換分光器によるパルス現象の測定を可能にするために、信号処理回路に次のような変更を施す。インターフェログラムが増幅されてAD変換器に入る直前において信号を外部に取り出し、下記のようなスイッチング回路を通したのちAD変換器に戻す。このスイッチング回路は、パルス現象に同期しており、パルスがONの期間にはシグナルを通過させ、OFFの期間には阻止する。信号源がそもそもパルス的であることと上のようなスイッチング回路を通すことで、AD変換器に戻された信号には、フーリエ変換を行ったとき偽のスペクトルを与える成分が含まれてくる。偽のスペクトルの妨害を逃れるためには、適当なバンドパスフィルターを光源と検出器の間のどこかに挿入しなければならない。 本年度は、パルス超音速分子線中の分子の赤外スペクトルを観測するための吸収セルを製作した。またこのセルを使用して測定するための外部赤外光源を設置した。チェンバーの長さは20cmで240m^3/hのメカニカルブースターポンプで排気した。ジェネラルバルブ社製の電磁バルブの先に口径0.8mmのノズルを取り付けたものを使用してパルス超音速分子線を発生させた。テスト試料としてAr中に10%のCOを混ぜたガスを用い、押し圧3.5気圧、繰り返し50Hzでチェンバーに吹き込んだ。バンドパスフィルターの役割を果たすものとして50cmの回折格子分光器を検出器直前におき、中心波数2000cm^<-1>、半値全幅10cm^<-1>の領域のみを通過するようにした。ガスのパルスに同期したパルス幅1msのスイッチング回路を通して測定し、60回の積算を行った。その結果COの赤外スペクトルを0.005cm^<-1>の分解能で測定することができた。またスペクトルの線強度比から、超音速分子線中の回転温度17Kを得た。
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