1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロクムレン類のジエン不認識問題の解決ー定説の打破ー
Project/Area Number |
09874121
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
長谷川 登志夫 埼玉大学, 理学部, 助手 (00237976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町口 孝久 埼玉大学, 理学部, 教授 (00008864)
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Keywords | ジフェニルケテン / 環状ジエン / 鎖状ジエン / 反応中間体 / NMRモニター |
Research Abstract |
「ヘテロクムレン類のジエン不認識問題の解決ー定説の打破ー」の研究課題のもと研究を行い,今年度,以下の結果を得ている。 ジフェニルケテンとシクロペンタジエンとの反応について、得られた新しい概念(ケテンはそのC=O結合をとうしてジエンを認識し,[4+2]型の環化付加体を生成する)が,一般的なことであることを明らかにするため,いくつかのジエン類(環状のジエンおよび鎖状のジエン)とジフェニルケテンとの反応を検討した。まず,ジフェニルケテンとジエン類との反応について,低温から高温にいたるさまざまな温度でのNMRおよびIRの測定による詳細な反応過程のモニターを行った。このモニターによって,今まで認識されてきた[2+2]型の付加過程は,真の反応機構を示していないこと,別に真の反応の中間体(初期生成物)が存在することをつきとめることに成功した。さらに,これらのケテンとジエンの反応の様子は,環状のジエンと鎖状のジエンとの場合では全く異なったものであることも見い出した。現在,反応中間体のいくつかの単離に成功し,その中間体がさらに転位することもわかっている。反応の全過程を明らかにするため,今後,残りの反応中間体のすべてを単離し,分子軌道法によって理論的な検討も加え,ケテンとジエンの反応について真の反応機構を明らかにすることをめざしている。そして,この研究によって,ケテンとジエンの反応過程を系統的に解釈することを考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Machiguchi: "The Problem of Non-recognition for Dienes in Ketene Reactions(A Big Fault in Ketene History and its Solution)" J. Synth. Org. Chem. Jpn.55. 56-64 (1997)
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[Publications] T.Hasegawa: "Reaction OF Tropothione with Ketene Involving the First [3,7] Sigmatropic Rearrangement" Proc. Isna. 9(in press). (1998)
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[Publications] T.Machiguchi: "Ketenes Recognizes Tropone Through its Full 8π Conjugation" Proc. Isna. 9(in press). (1998)