1998 Fiscal Year Annual Research Report
不飽和脂肪酸の光化学的変質に関する実験的研究:古大気の酸化能力推定法の検討
Project/Area Number |
09874153
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河村 公隆 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70201449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 直彦 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (00281832)
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Keywords | オレイン酸 / オゾン / OHラジカル / アゼライン酸 / 光化学反応 / 紫外線照射 / 低分子ジカルボン酸 / 大気の酸化能力 |
Research Abstract |
本年度は、石英製の反応容器を作成し、不飽和脂肪酸とオゾン、OHラジカルとの反応によって生成するジカルボン酸をガスクロマトグラフ・質量分析計によって解析し、酸化条件と生成物の組成との関係を求めた。まず、反応容器の石英表面にコーティングしたオレイン酸を、オゾンおよび紫外線照射により発生させたOHラジカルによって酸化分解し、生成物をキャピラリーGC、GC/MSを用いて解析した。また、紫外線照射をしない実験も同様におこなった。その結果、オレイン酸の光化学反応によって、アゼライン酸(C9)を主成分とするC2〜C9の直鎖飽和ジカルボン酸を検出することができた。それらの量は紫外線照射4〜20時間で最大となり、その後は減少するという傾向を示した。これらの結果から、アゼライン酸を主成分とする低分子ジカルボン酸が不飽和脂肪酸の光化学的分解によって生成することが明らかとなった。低分子ジカルボン酸の組成比は時間とともに変化することを見いだし、その分布の特徴より長いジカルボン酸から短鎖のジカルボン酸が生成されることが示唆された。このことから、不飽和脂肪酸から生成されたアゼライン酸は、さらに光化学的分解をうけることで、より短鎖のジカルポン酸を生成することが明らかとなった。このような室内実験の結果は、アイスコアで検出された低分子ジカルボン酸の時代的変遷の解釈に使えるものと考えられる。本研究を通して、アイスコアを用いた過去の大気酸化能力の復元の研究に低分子ジカルボン酸を応用できるとの展望を開くことができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Kawamura: "Composition and photochemicaltransformation of organic aerosols from the Arctic" Global Environmental Research. vol.2,No.1. 57-67 (1998)
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[Publications] 大河内 直彦: "古環境の復元する指標としてのバイオマーカー" 地学雑誌. 107. 189-202 (1998)
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[Publications] K.Kawamura: "Molecular distributions of water soluble dicarboxylic acids in marine aerosols over the Pacific Ocean including tropics" J.Geophys.Res.104. 3501-3509 (1999)
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[Publications] K.Kawamura: "Total carbon and nitrogen contens and molecular composition of watersoluble organic matter in the marine aerosols from western North to tropical Central Pacific" Dynamics and Characterization of Marine Organic Matter. (in press). (1999)
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[Publications] K.Kawamura: "Implication of azelaic acid in a Greenland ice core for oceanic and atmospheric change in high latitudes" Geophys.Res.Lett.(in press). (1999)
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[Publications] N.Ohkouchi: "Depth ranges of alkenone production in the Central Pacific Ocean" Global Biogeochemical Cycles. (in press). (1999)