1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09874165
|
Research Institution | Miyazaki International College |
Principal Investigator |
原 成光 宮崎国際大学, 比較文化学部, 助教授 (50261243)
|
Keywords | 生死判定 / 螢光基質 / ゲルカバー濾過 / 微生物 / プランクトン / 死細胞 / コロニーカウント |
Research Abstract |
海洋における微生物プランクトンの自然死亡分解過程を定量的に解明するための第一歩として、平成9年度は培養細胞系を用いて成長-死亡分解過程の定量的記述を目的とする研究を行った。 細胞の生死判定は、細胞内酵素活性の有無を検出する蛍光基質により細胞の生死を区別し、その状態をゲルカバー濾過法により保存・観察・定量した。文献的にはバクテリアから原生動植物まで全てのプランクトンの生死を蛍光基質により定量的に判定できることが判明していた。そこで2種類の真核生物植物プランクトン、Tetraselmis tetratheleとChroomonassp.、を用いて細胞の増殖過程と生死比率との関係を観察したところ、2種類とも増殖期から定常期にはいる境界期に死亡率が急増することが判明した。このことは単細胞生物の増殖プロセスにおいて増殖末期に生理的・構造的な変化が細胞に起こり、それが生死のコントロールに重要な役割を果たしていることを暗示している。一方、原核生物であるバクテリアにおいては、Escherichia coliと自然海水より分離した1株を用いて細胞の増殖過程と生死比率との関係を観察したところ、真核生物とは逆に2種類とも増殖期から定常期にはいる境界期に蛍光基質による生細胞比率が急増することが判明した。その他の時期には蛍光基質法による生菌数はコロニーカウントを下回った。このことは蛍光基質法はバクテリアの生死判定には適当でないこと、また原核生物も真核生物と同様に増殖末期に生理的・構造的な変化が細胞に起こっていることを示している。これらの生理的・構造的変化の実態解明は本研究の範囲を超えているため、適当な共同研究者とともに新たなプロジェクトを発足させたい。 本研究においては今後、蛍光基質法とコロニーカウントを併用し自然海水中のプランクトンの生死の把握とともに、培養・自然両系での死細胞のその後の運命を解明する。
|