1998 Fiscal Year Annual Research Report
RNA結合タンパク質の作用機作の根拠となる数学的モデルの構築
Project/Area Number |
09874167
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
佐藤 直樹 埼玉大学, 理学部, 教授 (40154075)
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Keywords | シアノバクテリア / ヘテロシスト分化 / 窒素欠乏応答 / 低温適応 |
Research Abstract |
シアノバクテリアには真核生物のものと相同なRNA結合タンパク質詳が首遍的に存在し,低温では細胞中に多量に蓄積する。こうした遺伝子のーつを不活性化すると,低温特異的にヘテロシスト分化系が作動する。この種のRNA結合タンパク質の結合特性は比較的緩やかで,厳密な配列特異性があるわけではないが,この遺伝子を破壊することによって,細胞分化のような極めて特異性の高い反応が誘導されることは,大変不思議である。このような,一般的細胞因子が特異的反応を引き起こすことの一般的な理論的根拠となるモデルを構築することが,本研究の目的である。このために,UNIXコンピュータシステムを整備し,計算ができるようにした。 1。 数学的モデル もっとも単純に現象を説明できると思われる2種類の制御モデル(Plant Cell Physiol.37:1150-1160(1996)に対して,微分方程式を作製し,これに対する解をコンピュータを用いて検討する作業を,現在も継続中である。特に,positive feedback系において,mRNAの安定性,翻訳効率,タンパク質の安定性,などを考慮し,feedbackの様々な様式についてのモデルを最適化していく計画であるが,もう少し時間が必要である。この大きな理由として,RNAの結合特性についての実験的データ(項目2)がもう少し必要であることがあげられる。 2。 遺伝子操作実験 RbpA1タンパク質のRNA結合特性について,PCRを用いた試験管内分子淘汰法(SELEX)の結果では,CCCGCCCとGGGGGGが主な結合配列であり,部位特異的変異導入法では,Tyr3SerとPhe56Valの二つの変異タンパク質で,特にポリ(A)との結合が低下することがわかった。現状では,このタンパク質が複数種類のRNAモチーフと結合することが考えられるため,この結合様式そのものの解析も必要である。この結果がもう少しはっきりすれば,結合ターゲットをーつに絞ってモデルをつくって良いのかどうか,評価できる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.Sato and A.Nakamura: "Involvement of the 5'-untranslated in region in cold-regulated expression of the rbpAl gene in the cyanobacterium Anabaena variabilis M3." Nucleic Acids Res.26. 2192-2199 (1998)
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[Publications] N.Sato,A.Wada and A.Tanaka: "Ribosomal proteins in the cyanobacterium Anabaena variabilis strain M3:Presense of L25 protein." Plant Cell Physiol.39. 1367-1371 (1998)