1997 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞膜におけるNa共役輸送系の証明と解析:植物におけるNa必須制の再検討
Project/Area Number |
09874168
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
三村 徹郎 一橋大学, 商学部, 教授 (20174120)
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Keywords | 細胞膜 / 液胞膜 / 車軸藻 / 無機リン酸 / ナトリウム(Na) / プロトンATRアーゼ / 無機イオン代謝 / 植物栄養 |
Research Abstract |
我々は車軸藻節間細胞の細胞膜に、リン酸飢餓条件下で発現し、動物細胞と同様にNa+の電気化学ポテンシャル匂配によって駆動されている新しいタイプのリン酸輸送系の存在を確認した。本研究では、このNa+/リン酸輸送系の生理学的な特徴を明らかにすると共に、他の高等植物細胞においても、環境条件によって発現するかもしれないNa+依存輸送系の存在を探ることを研究目的とした。 生理機構の詳細を検討する実験材料として、車軸藻節間細胞とニチニチソウ培養細胞及びマングローブ培養細胞を用いた。本年は、以下の研究事実を明らかにした。 1:リン酸輸送系の解析過程でこのNa+/リン酸輸送系を見いだしたが、逆に、リン酸イオンに依存したNa+の輸送過程の詳細を検討する必要がある。車軸藻では、リン酸輸送系の誘導とNa+インフラックスの増大が一致すること、リン酸取り込みのNa+濃度依存性から、この輸送系のNa+に対するKmがおよそ0.2mMであることが分った。 2:リン酸輸送系には、リン酸イオンに対して高親和性と低親和性の二種の輸送系の存在が示唆されているが、リン酸濃度に対する、Na+の取り込みも二相性を示した。 3:Na+/リン酸輸送系においては、輸送系駆動エネルギーの動力学的証明を行う必要がある。そのために濃度測定と電位匂配測定を行った。細胞内のNa+濃度は、十数mMあり、Na+の濃度匂配からはリン酸イオンの取り込み系を駆動できない。一方、電位測定から、Na+/リン酸輸送系が起電的であることが分ったので、この輸送系は電位匂配で駆動されるものと思われる。現在化学量論比を検討中である。 4:リン酸輸送系誘導過程に対する、Na+の効果を調べたところ、Na+が存在しない場合には、リン酸イオンが存在しなくてもリン酸輸送系が誘導できなかった。 5:高等植物細胞の実験材料として、ニチニチソウとマングローブの培養細胞を用いて、成長のNa+依存性を検討中である。
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[Publications] Beilby M.J.: "Perfusion of charophyte cells:A criticalanalysis of the method." Journal of Experimental Botany. 48. 157-172 (1997)
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[Publications] Reid,R.J.: "A high affinity Na-dependent phosphate uptake induced by P starvation in Chara." Plant nutririon-for sustainable food production and environment.137-138 (1997)
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[Publications] Mimura,T.: "Control of phosphate transport across plasma membrane of Chara corallina." Journal of Experimental Botany. 49. 13-19 (1998)