1999 Fiscal Year Annual Research Report
染色体顕微切断によるカニクイザルとコモンマーモセットのゲノム解析へのアプローチ
Project/Area Number |
09874186
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平井 啓久 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (10128308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (00177750)
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Keywords | マカク類 / コモンマーモセット / 細胞キメラ / 減数分数 / キアズマ / 営光in situ ハイブリダイゼーション / 染色顕微切断法 |
Research Abstract |
本年度は、ニホンザルのY染色体と第10、19染色体を中心に削り取りを行った。まだ有効なプローブの数は多くないが、現在計画しているカニクイザルを含めたマカク類のゲノム解析のための比較プローブとして有用になるであろう。また、コモンマーモセットのゲノム解析を開始するに当たり、本種に特異的現象である、双児間細胞キメラの特性を把握する必要がある。そこで、雄雌双児における血液系および組織系の培養細胞の染色体観察から、雌雄細胞キメラ状況を解析した。雄の肺と耳は100%雄細胞(XY染色体を含む)であり、その脾臓と血液は両者とも65%が雄細胞で残りの35%は雌細胞(XX染色体を含む)であった。雌の肺は100%が雌細胞であり、その脾臓と血液は60%が雄細胞で残りの40%が雌細胞であった。さらに、雄の減数分裂細胞のキメラ状況を観察するため、ヒトX染色体の彩色プローブを用いたFISH解析を行って観察したところ、第一減数分裂中期にXX対合を持つ細胞は今までのところ観察されなかった。減数分裂時に生じるキアズマ(相同染色体の交叉)は、遺伝子攪拌にとって非常に重要な機構であり、遺伝子の発現や重複に大きな影響を与えている。そこで、キアズマ形成機構の種特性を把握するっために、キアズマ頻度ならびにヘテロクロマチンの影響等を、ニホンザル、アカゲザル、カニクイザル、コモンマーモセット、フサオマキザル、およびチンパンジーで比較した。 直接目標としていたカニクイザルとコモンマーモセットの染色体特異的プローブを作製することは、未だに不十分である。しかしながら、両種群の血液培養にカブトムシレクチンalloAが他のレクチンよりも細胞分裂促進に有効であること、コモンマーモセットの相児間キメラは血液系だけに限定されている、などの基礎情報が得られたことは、今後のゲノム解析遂行に非常に有効と思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Imai,HT,Wada MY,Hirai,H et al.: "Cytogenetical,genetic and evolutionary functions of chiasmata based on chiasma graph analysis"Journal of Theoretical Biology. 198・2. 239-257 (1999)
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[Publications] Hirai,H and Umetsu,K: "Preferable mitogenicity of beetle lectin,allo A,for the blood cell culture of macaques and its influence on apoptosis"Primates. 40・4. 597-606 (1999)
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[Publications] Hirai,H,Taguchi,T.and Godwin,AK: "Genomic differentiation of 18S ribosomal DNA and β-satellite DNA in the hominoid and its evolutionary aspects"Chromosome Research. 7・7. 531-540 (1999)