1997 Fiscal Year Annual Research Report
低温合成法による高温超伝導体の作製と新超伝導物質の探索
Project/Area Number |
09875002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小池 洋二 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70134038)
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Keywords | 低温合成 / 複合金属水酸塩 / 無限層超伝導体 / 高温超伝導 |
Research Abstract |
超高圧合成法によって作製された無限層超伝導体Sr_<1-x>Ca_xCuO_2の作製を、複合金属水酸塩前駆体法という低温合成法により試みた。 まず、前駆体Sr_<1-x>Ca_xCu(OH)_4・H_2Oを合成した。SrCu(OH)_4の合成法はすでに報告されているが、SrサイトのCa置換の報告例はない。そこで、SrCu(OH)_4・H_2Oの報告例に従って、まず、CuBr_2水溶液に高濃度NaOH水溶液を加え、その後、SrCl_2+CaCl_2混合水溶液を加えた。複合金属水酸塩は沈殿物として得られるが、生成物にはCaは置換されていなかった。そこで、まず、CuBr_2、SrCl_2、CaCl_2を一緒に水に溶かし、その後、高濃度NaOH水溶液を加えた。その生成物を粉末X線回折およびICP分析した結果、Caが系統的に置換されていることがわかった。次に、得られた前駆体Sr_<1-x>Ca_xCu(OH)_4・H_2Oを酸素または窒素中で12時間、様々な温度(300-1000℃)で焼成し、粉末X線回折により相を同定した。 生成物は、300℃以下ではアモルファスであったが、窒素気流中、400℃という低温でSrCuO_2が得られた。これは、無限層超伝導体といわれる高圧相ではなく、常圧相であった。しかしながら、通常の固相反応法に比べ、約500℃も低温で合成することに成功した。Caの固溶域は0≦x≦0.5で、Ca量が増えるとともに、また、酸素気流中では反応温度は上昇した。 無限層超伝導体は、さらに低温(300℃以下)で出現する可能性がある。そのためには、低温で結晶化を促進させるために、適切な触媒を添加し、長時間焼成する必要がある。
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Research Products
(1 results)