1997 Fiscal Year Annual Research Report
ナイスケール探針のシャド-効果による光・電子照射測定の空間分解能向上の試み
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09875009
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
富取 正彦 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (10188790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 豊子 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (20250235)
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Keywords | 走査型プローブ顕微鏡 / 走査型トンネル顕微鏡 / 探針 / シャド-効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は、走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope:SPM)の機構を用いて、光や電子線照射領域を絞り込む単純で新しい方法の可能性を調べることである.検討している手法とは、広領域に光または電子が照射された試料表面に原子スケールで鋭いSPM探針を接近させ、そこに作られる光や電子線の影(シャド-)を利用する方法である.探針が光・電子照射されている試料に接近すると、回折効果を無視すれば、光・電子照射領域には影ができ、影の部分は光や電子線が照射されなくなる.したがって、このときの反射する光・電子の信号の微小な変化を検出できれば、その変化は隠された領域から発生したものであるので、その信号変化に対応した表面上の信号発生源の位置が特定できることになる.本年度は、超高真空中で稼動する既存の走査型トンネル顕微鏡(STM)を改造して、探針先端を試料に接近させたときに生じる「シャド-による効果」を検出する機構を開発した.主な点は、 1.既存の真空装置中の試料面に浅い角度で光の導入ができるように改造した. 2.電子線照射のために、電界放射針を利用した安価な電子源を製作した.予備実験として、電子照射領域から散乱される電子のエネルギースペクトルを測定し、探針に電圧を印加したときの効果を、SEM機能を合せ持った走査型オージェ電子分光器(SAM)で調べた.その結果、電子軌道の歪みにともなうSEM像の変化と印加電圧分のオフセットをもった2次元電子のスペクトルが測定された.近接領域での多重散乱の可能性を示唆するデータが得られた.
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