1997 Fiscal Year Annual Research Report
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09875016
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 悟 理化学研究所, 半導体工学研究室, 基礎科学特別研究員 (80281640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 真史 理化学研究所, 高輝度光科学研究センター・放射光研究所, 研究員 (90281667)
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Keywords | X線位相制御 / 原子層成長 / AIP / MnGa / メチル基 / 表面粗さ |
Research Abstract |
keVのX線位相制御は、多層膜構造に原子レベルの周期長の変調を加えることにより達成できる。計算機シミュレーションの結果は、一原子層のみ厚さの異なる複数の周期の組み合わせが、X線の反射波長を厳密に制御するのに特に有効であることを示した。 このようなX線位相制御光学素子を実現するためには、密度の低い物質と高い物質を原子層単位で厳密に交互に積む必要がある。そこで、密度の低い物質としてAIPを選び、位相制御に必要な完全平坦面を保ち、かつ原子層単位の成長を実現すると考えられている原子層成長法を用いて結晶成長を行った。その結果、次のような成果を得た。(1)AIPの原子層成長に初めて成功した。(2)完全平坦な面を持つ単原子層成長の達成に、原料ガスが解離吸着する際に形成されるメチル基の存在が極めて重要な役割を果たすことが、原子間力顕微鏡による観測から見いだされた。(3)表面の粗さはメチル基の脱離とそれに続く原料ガスの多層吸着により形成され、その過程は、計算機シミュレーションによって忠実に再現できることを明らかにした(4)そのモデルに基づき極めて質の高い完全平坦面が実現できた。 更にAIPに対して密度の高い物質として、MnGa系の化合物が適していることをシミュレーションにより見いだし、その化学気相成長法を試みた。その結果、初めてMn_3GaおよびMn_8Ga_5の薄膜成長に成功し、光学素子への適用の可能性を示した。特に、これらの結晶構造は、成長温度によって制御できることを見いだした。
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[Publications] M.Ishii, S.Iwai, T.Ueki, Y.Aoyagi: "Surface reaction mechanism and morphology control in AIP atomic layer epitaxy" Thin Solid Films. (発表予定).
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[Publications] M.Ishii, S.Iwai, T.Ueki, Y.Aoyagi: "Metalorganic vapor phase epitaxy of manganese gallide thin films and growth temperature dependence of its crystal structure." Journal of Crystal Growth. (発表予定).