1998 Fiscal Year Annual Research Report
熟練設計者の識閾下における思考形態分析とそのモデル化
Project/Area Number |
09875035
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊東 誼 東京工業大学, 工学部, 教授 (60016441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
割澤 伸一 東京工業大学, 精密工学研究所, 助手 (20262321)
新野 秀憲 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教授 (40196639)
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Keywords | 設計者の思考形態 / 識閾下 / 検図過程 / 工作機械 / 思考パターンの可視化 / 三種類の経験度 / 認知過程 / 設計支援ツールの仕様 |
Research Abstract |
本研究は,工作機械,設計,特にマシニイグセンタ主軸系の設計を対象に熟練設計者の思考形態分析とそのモデル化を行うことを目的としている.本年度が最終年度であることから,熟練設計者の思考形態のモデル化を行い,さらにその結果に基づいて熟練設計者の設計支援ツールの仕様の提示を行った.まず,インタビュー調査の結果に基づいた熟練設計者の思考パターンをモデル化する手法として,「着目項目間の接続パターンの可視化」を提た.これは,検図作業における重要視する項目の有向グラフ表現における各アークの始点をX軸,終点をY軸として,その接続頻度をZ軸にプロットしたものである.これによって,まず,頻度の高い接続パターンを局所的な思考パターンとして取り出すことができる.さらに,局所的思考パターンを用いて有向グラフを再構成することによって設計者の思考パターンを得ることが可能となる.この手法を用いて熟練度別に思考形態のモデル化を行った結果,同じ着目項目を挙げていてもそれに至る項目に大きな違いが存在することを明らかにした.また,これが初年度で示した設計者の探索的挙動と発見的挙動と深く関連があることも明らかになった..次に,(1)設計者の特徴付けと(2)設計者の認知過程とを結び付けて,思考形態のモデル化を行った.(1)では,設計社の特徴付けを経験度に限定して行っている.この中で,経験度を単なる経験年数とはせず,(a)Developed Experience,(b)Very Local Knowledge,(c)Task Familiarityの3つの経験を提案している.(2),では心理学の分野で提案されている認知過程モデルをもとに,熟練設計者の意識的な認知過程と識閾下の認知過程のモデル化を行った.そして,これら設計者の特徴と設計過程との関係をマトリックスの形に整理した.最後に,多くの研究者や企業によって開発・販売されている設計支援ツールを取り上げ,本研究で得られたデータやモデルにしたがって評価するとともに,設計支援ツールに要求される仕様を提示した.
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