1998 Fiscal Year Annual Research Report
制御された炭素・水素ラジカルを用いたβ-C_3N_4薄膜の合成法の開発
Project/Area Number |
09875039
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井出 敞 愛媛大学, 工学部, 教授 (20029276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 洋通 愛媛大学, 工学部, 助手 (00217572)
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Keywords | Microwave / Plasma / CVD / High pressure / β-C_3N_4 |
Research Abstract |
本研究では,高圧力下で安定してプラズマを発生できる装置により,窒素ガスとメタンガスを原料ガスに用いてβ-C_3N_4を合成することを目的とした。研究計画における,マイクロ波共振回路及び高圧力マイクロ波プラズマ装置の改良については,計画にあるように高エネルギ密度状態を実現するため,最適化しやすいように等価回路として表現できるものとするとともに,プラズマの状態に応じて回路定数を変化させることができる要素を付加した。また,基板温度が重要な因子であることがこの研究において明らかとなったため,基板の温度を制御できるようにした。このように装置により研究計画におけるβ-C_3N_4の合成を試みた。特に,膜の炭素と窒素の成分比に着目し分析を行った結果,次のようなことが分かった。 ・10hPa〜大気圧の範囲では反応室内圧力が低い方が膜中の窒素の含有率が大きくなる。 ・基板温度が低い方が膜中の窒素の含有率が大きい。 ・プラズマ内の活性ラジカルが多いと膜中の窒素の含有率がが大きくなる。 ・基板材料によって成膜性が大きく影響を受ける。 得られた膜の成分比はいずれもβ-C_3N_4としてのN/C=1.33より小さい。これらのことより,基板温度の制御範囲をより低温域へ拡げるとともに,高エネルギ密度を実現する必要がある。 以上より,β-C_3N_4の合成には,より高投入マイクロ波電力を実現しながらも基板温度を低く抑えるべきであるという指針を基に,窒素原子のさらなる高活性化のためマイクロ波電源の高電力化および共振装置のさらなる改良をを行うことで,β-C_3N_4の合成が期待される。
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