1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09875045
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
兼田 もと宏 九州工業大学, 工学部, 教授 (90039123)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 宏志 九州工業大学, 工学部, 助手 (40208161)
松田 健次 九州工業大学, 工学部, 助教授 (40229480)
鶴田 隆治 九州工業大学, 工学部, 助教授 (30172068)
|
Keywords | 真空 / 潤滑法 / 機械要素 / 拡散 / 昇華 / トライボロジー |
Research Abstract |
本研究は,高真空を利用した全く新しい潤滑法を提案しその基礎理論を確立しようとするものである.その第一は「拡散潤滑」である.真空中における合金の拡散成分を固体潤滑剤として利用しようとするものである.第二は「昇華潤滑」である.しゅう動部での発熱と高真空が原因で発生するしゅう動材の昇華を利用して非接触潤滑を達成しようとするものである.計画達成のため,拡散潤滑に対しては押し込み硬度に関する数値ならびに実験解析に立脚して基材ならびに皮膜材の機械的特性と変形状態を把握し,実験環境を整えるために試験装置の整備と試作を実施し,拡散潤滑の予備実験を実施した.また,昇華潤滑に対しては,摺動材の昇華を想定した微小空間内の分子気体挙動を直接シュミレーションモンテカルロ(DSMEC)法を用いて解析し,圧力発生の基本特性を把握した.得られた成果は以下のようにまとめられる. 1.下地の硬度が増加し,皮膜厚さが減少するほど摩擦係数は低下する.2.下地の硬度が高いほど,表面損傷を受ける領域は狭いが,皮膜寿命は短くなる.3.被膜材のビッカースならびにブリネル硬さに及ぼす基材の影響は,皮膜厚さhと押し込み深さdの比d/hによって規定され,基材の影響を受けずに皮膜自身の硬さが得られる限界値d/hが存在し,その限界値は塑性域の拡がりに関係する.4.摩擦面表層薄膜により真空下のトライボ特性は顕著な影響を受ける.5.合金の真空環境下しゅう動面は大気しゅう動面に比較して合金組成が相違する.6.真空環境下での昇華を利用することにより.圧力を保持することが可能である. すなわち,「拡散潤滑」ならびに「昇華潤滑」が原理的には可能であることが,理論・実験の両面から証明され,今後の研究テーマの基礎が確立された.
|