1998 Fiscal Year Annual Research Report
微小オリフィスを通る流れの異常性とナビエ・ストークス方程式の適用性に関する研究
Project/Area Number |
09875049
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
長谷川 富市 新潟大学, 工学部, 教授 (80016592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴海 敬倫 新潟大学, 工学部, 助教授 (20143753)
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Keywords | オリフィス / 伸張流 / ナビエ・ストークス方程式 / 粘弾性流体 / 反力 / ジェット / 適用性 / 異状性 |
Research Abstract |
代表者らは、本研究に先立つ実験により、厚さ10ミクロン、直径10ミクロンから30ミクロンの微小オリフィスを通る水の流れの圧力損失が流体の基礎方程式の予測値により異常に高い値をとるという現象を見い出している。 本研究の平成9年度分では、前述の水を用いた実験と同種の実験を空気を用いて行い、空気は水よりも異常性は少ないが水と同様に基礎方程式の予測通りには流れないことを明らかにした。また、小オリフィスを用いて流出ジェットの反力とジェット直径を精密に測定する実験を行い、その結果から水が伸張ひずみを伴う流動に際し弾性力を生じると考えることが妥当であり、従来の基礎方程式の修正が必要になることを示した。本年(平成10年)度では、小オリフィスを用いて水とシリコンオイルの流出ジェットの反力とジェット直径を精密に測定する実験をさらに広範囲に行い、オリフィス厚さの影響を取り込んだ数値解析を基に流出ジェットの表面張力の影響も考慮して実験値を整理するとジェット反力と直径測定の両者から算定した弾性力がよく一致することを示した。この結果は従来ニュートン流体と考えられていた水やシリコンオイルを粘弾性流体とみなすことが妥当であり、基礎方程式であるN-S方程式を修正する必要のあることを強く示唆している。 さらに流出ジェットにレーザー光を当てマイケルソンの干渉計の原理を使い、小オリフィスを通過するジェットの屈折率を測定することを試みた。屈折率が静水のそれよりも大きければ弾性化の証拠となる。これについてはまだ明確な結論を得ていないが流出ジェットの屈折率が静水のそれと異なるであろうという結果は得ており、実験誤差等を除く検討を続けている。
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[Publications] 渡辺博、長谷川富市、鳴海敬倫、平井康行、田辺勝利: "希薄高分子溶液の小オリフィスを通る流れと伸張応力の測定法に関する研究" 日本レオロジー学会誌. 26巻1号. 21-26 (1998)
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[Publications] Tomiichi Hasegawa and Masataka Shirakashi: "EXAMINATION OF THE ELASTICITY OF WATER AND SILICON OIL BY MEASURING THE REACTION FORCE AND THE DIAMETER OF JETS THROUGH SMALL APERTURES" Proc.of the KSME-JSME Fluids Eng.Conf.,Pusan,Korea. 265-268 (1998)
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[Publications] Tomiichi Hasegawa: "ELASTIC PROPERTY OF THE SO CALLED NEWTONIAN FLUIDS" Rheology and Fluid Mechanics of Ncxlinear Materials,1998 ASME INT.MECHANICAL ENG,AND CONGRESS. FED.VOL246/MD-VOL81. 37-40 (1998)
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[Publications] 池田聡,長谷川富市,鳴海敬倫,渡辺博: "いわゆるニュートン流体の伸張応力に対する実験的検討" 日本レオロジー学会 第46回レオロジー討論会講演要旨集. 43-44 (1998)
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[Publications] 渡辺博,反町和則,長谷川富市: "小孔流出ジェットの速度場および直径に関する研究" 日本レオロジー学会 第46回レオロジー討論会講演要旨集. 35-36 (1998)