1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09875056
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
岩城 敏博 富山大学, 工学部, 教授 (90019191)
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Keywords | 分子動力学 / クラスター / 衝突 / エネルギー変換 |
Research Abstract |
分子動力学法によるシミュレーションによって、クラスターの衝突過程におけるエネルギー変換機構を調べる.その初めとして、LJポテンシャルをもつ7個の原子より成り、回転運動のない2次元クラスターを用いた.並進速度をパラメーターとして、このクラスターを衝突させ、衝突前後におけるクラスターの凝集・分解、エネルギー変換・輸送を、確率論的に調べた.その結果、以下の結論が得られた. 1.衝突速度がある値より小さいとき、1つのクラスターに凝集し、衝突速度が前者と異なるある値より大きくなると、モノマーやダイマーなどの小さいサイズのクラスターに分裂する.この間の衝突速度のときは、モノマーやダイマーなどの小さいクラスターと比較的サイズの大きいクラスターに分裂する.衝突速度を制御することによって、クラスターサイズを制御できることになる. 2.衝突過程において、まず、並進運動エネルギーが振動運動エネルギーに変換される.次ぎに、振動運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの間で変換が繰り返される.さらに、衝突速度が大きいときは、振動運動エネルギーから並進運動エネルギーとポテンシャルエネルギーへの変換過程が加わる.このとき衝突前の並進運動エネルギーは、振動運動エネルギーへ10%、ポテンシャルエネルギーへ90%の割合で変換される. 3.衝突速度が大きくなるとき、衝突前後のポテンシャルエネルギー差、並進運動エネルギー差、振動運動エネルギー差、回転運動エネルギー差は衝突速度に依存しなくなる. 4.衝突過程において、まず、振動運動エネルギー、次ぎに、並進運動エネルギーと回転運動エネルギー、最後にポテンシャルエネルギーの順でエネルギー変換が完了する.
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