1997 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ点接触における熱・電荷輸送現象のラティスボルツマン数値解析による理論的考察
Project/Area Number |
09875059
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 衡平 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10283491)
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Keywords | 点接触 / ボルツマン方程式 / 境界条件 / 拡散反射 / 鏡面反射 / サイズ効果 / 平均自由行程 |
Research Abstract |
本研究は、接触径が平均自由行程(MFP)程度である、ミクロ点接触における熱起電力のボルツマン方程式による解明を目的としている。このような小さな系における熱・電荷輸送を問題とする場合、境界での輸送キャリアの散乱が輸送特性(熱起電力)に大きな影響を及ぼすので、境界条件を正確に与える必要がある。そこで、点接触部分の熱流のサイズ効果に注目して、環境条件の検証をおこなった。 径のサイズをMFPの10倍、1倍、0.1倍とした点接触に、差分化ボルツマン方程式を適用する。点接触部から離れた上部を130[K]、下部を70[K]とし、平衡分布関数を与えた。問題となる(点接触部の側面の)環境条件は、完全鏡面反射条件、あるいは、完全拡散反射条件とした。これらの条件下で、ボルツマン方程式を数値計算し、別に数値計算した熱伝導方程式の解と比較しながら、(等価)温度、熱流束を検証した。 ボルツマン方程式により求めた(等価)温度分布と熱伝導方程式により求めた温度分布は、10%程度の差があるが、いずれのサイズにおいても一致を見た。熱流束についても、およその一致を見た。 さらに、ボルツマン方程式の解に注意すると、完全拡散反射条件で求めた点接触中央部の熱流束Qzoは、完全鏡面反射条件で求めたQzoより小さく、熱伝導方程式の解からのズレが大きくなった。サイズが小さくなるほど、その熱流束の減少比は大きくなり、点接触径がMFPの10倍、1倍、0.1倍で、それぞれ2%、5%、25%の減少であった。この様なサイズ効果は、先に報告されている実験的研究の結果と定性的に一致している。 以上の結果から、拡散反射境界条件で差分化ボルツマン方程式を数値計算すると、寸法の減少に伴うサイズ効果をシュミレーションできる事がわかった。よって、次年度は拡散反射境界条件を採用し、ラティスボルツマン数値解法に導入し、解析を進める。
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