1997 Fiscal Year Annual Research Report
ビルディング内の電磁ノイズ障害発生機構の解明とその診断技術の研究
Project/Area Number |
09875095
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
井手口 健 九州東海大学, 工学部, 教授 (60289626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 広昭 熊本電波工業高等専門学校, 情報通信工学科, 教授 (40249884)
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Keywords | 電磁ノイズ / EMC / イミュニティ / コモンモードノイズ / ノーマルモードノイズ / ア-ス / メタルペア通信線 / 診断技術 |
Research Abstract |
本年度はビルディング内の通信線や電源線における電磁ノイズの進入経路や放射経路を推定するための計測技術およびノイズ伝搬特性を明らかにすることを目的に研究を実施した。その結果、従来の電流、電圧による評価とは異なり、電磁ノイズの有効電力に着目して伝搬特性を検討し、進入経路を特定するための計測指針や電磁ノイズ低減対策指針を得た。さらに、メタルペア通信線における電磁ノイズのコモンモード有効電力とノーマルモード有効電力の変換特性を明らかにし、本結果を利用してビルディング内に敷設されたメタル導線のコモンモード帰路となる仮想ア-ス面の推定技術を考案した。以下にその概要をまとめる。 (1)併設導線間の誘導における有効電力伝搬特性の把握とその応用 2本の導線が併設されている場合、電磁ノイズの有効電力は起誘導線と被誘導線間でお互いに授受しながら伝搬することを理論と実験により明らかにした。このことから、特定の周波数であれば被誘導線に有効電力を吸収させることにより伝導ノイズの低減設計が得られる可能性があることが示唆された。 (2)ペア通メタル信線のコモンモード/ノーマルモード有効電力変換特性の把握とその応用 メタルペア線長の約6倍の波長に相当する周波数まで変換量は単調に増加しそれ以上の周波数では増加傾向がなくなること、モード変換された有効電力のケーブル長手方向の量は周期的に増減するなどの知見が得られた。これらは、伝導ノイズの有効な対策技術や試験技術に反映しうる。 また、銅板上のTVフィーダ線のノーマルモード/コモンモード有効電力変換特性が帰路となる銅板からの高さ依存性を著しく有することを利用すると、メタル導線敷設場所でTVフィーダ線のノーマルモード/コモンモード変換量を測定し、銅板上の変換特性と比較することにより仮想ア-ス面が特定できることを理論と実験により明らかにした。 上記結果は、ビルディング内の電磁ノイズ障害発生機構の解明とその診断技術を確立する上での一助となる成果である。今後は電磁ノイズ波形パターンや伝搬特性パターンなどを識別しつつノイズ発生原因や進入経路などを特定する技術を研究する。
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Research Products
(2 results)