1997 Fiscal Year Annual Research Report
水文頻度解析への両側有界極値分布の応用とその科学的・実用的意義
Project/Area Number |
09875115
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宝 馨 京都大学, 防災研究所, 助教授 (80144327)
|
Keywords | 極値統計 / 水文頻度解析 / 確率水文量 / 適合度評価 / 極値分布 / 対数正規分布 / Slade変換 / ブートストラップ法 |
Research Abstract |
本研究では,物理的意味のある上下限値を持つ確率分布を水文頻度解析に適用することを提案し,そのようなモデルの有用性を検証する。両側有界極値分布及びSlade型4母数対数正規分布を対象として,これらの分布に含まれる4つの母数について,所与の標本に対する最尤推定量の数値解を求めるアルゴリズムを開発した。4つの母数の推定値を求める場合,物理的意味を持つ上下限値の取り扱いについて以下のオプションを考えた: (1)どちらも自由パラメタとする場合,(2)下限値だけ自由パラメタとする場合, (3)上限値だけ自由パラメタとする場合,(4)どちらも外部的に与えられるとして固定する場合。 CIS(Computer Intensive Statistics,集約的計算統計)の手法により,各オプションの適合度及び再現確率統計量(T年確率水文量)の推定誤差の両方の観点から優劣を評価した。 その結果,以下のような知見を得た。 1.両側有界極値分布は,Slade型の4母数対数正規分布と比較して柔軟性に欠ける(すなわちデータへの適合度が一般に悪い)。 2.与えられる上下限値の違いによって,適合度がどのように変わってくるかということについて,その変動特性を定性的に明らかにした。 3.リサンプリング手法の一つであるブートストラップ法により,確率水文量の変動を定量的に評価することができた。上限値無限大とする代わりに,上限値を導入することにより,確率水文量推定値の変動が小さくなることが確認できた。
|
Research Products
(2 results)