1997 Fiscal Year Annual Research Report
社会ネットワーク分析を援用した市町村連携型住宅政策の構想
Project/Area Number |
09875139
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 光雄 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30127097)
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Keywords | 社会ネットワーク分析 / 住宅市場 / 自治体住宅政策 / 市町村連携型住宅政策 / 関係データ / 関西文化学術研究都市 / 住宅マスタープラン |
Research Abstract |
(1)「市町村連携型住宅政策」に関する基礎的考察 公共経済学の考え方等を参考にしながら、住宅の財としての性質について整理し、それに対する公共介入としての住宅政策における国と自治体の役割分担について考察した。住宅には公共財的な性質と価値財的な性質が認められ、効率性と公平性の2つの観点からの住宅市場への介入が必要とされるが、政策の特質に応じた適性主体が存在することが確認できた。そのうち、住宅の地域公共財としての性質に着目した場合、便益を基準とした適性圏域は現在の行政単位とは必ずしも一致せず、それがきわめて多様であることから、住宅政策における自治体間の連携が有効であるという考察を行った。 (2)市町村間のネットワークモデルの検討 住替えによる人口移動、通勤による昼夜間の移動、住宅市場等の市町村間のつながりの強弱を示すデータを基礎データ(属性データに対して関係データと称する)とした、自治体間のネットワークを構造を分析するために、社会学等の分野で用いられる「社会ネットワーク分析」の基礎的な概念を整理した。社会ネットワーク分析により、ネットワーク全体の<範囲><密度>や、ネットワーク内での各自治体の<中心性>等の指標でけでなく、関係が深い自治体の<クリーク>を示され、ネットワーク内における<構造同値性>によってそこでの「役割」の指標化も可能であることを確認した。 (3)市町村連携型住宅政策の事例研究 現在既に行われている複数自治体の連携による住宅政策への取り組みの事例について、その実態を把握し、ネットワーク化によるメリット・デメリットを明らかにした。事例調査対象として、学研都市建設にともなう新市街地を共有し、類似した住宅政策課題を持つ京都府田辺町・精華町・木津町をとりあげ、住宅政策課題が複雑かつ重層的になってきている現在、自治体間の合併ではなくフレキシブルな連携が有効であることを確認した。
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