1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09875154
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福永 俊晴 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (60142072)
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Keywords | メカニカルアロイング / 中性子回折 / 動径分布関数 / グラファイト / Se-S系 / 鎖状分子 / 環状分子 / アモルファス |
Research Abstract |
本研究ではグラファイト、Se系、S系などの粉末試料を不活性ガス中や活性ガス中でメカニカルアロイング(MA)を行い、そのメカニカルアロイング中に形成されたダングリングボンドに気体原子を反応させ、これまでにない巨大分子の創製を行うことを目的とする。グラファイトの不活性ガス中でのミリングでは構造因子S(Q)の変化は大きく表れたが、実空間上での動径分布関数RDF(r)の短範囲構造には顕著な変化が見られ無かった。すなわち、その第1ピークの位置は全く変化しないことが明らかとなった。しかし、その配位数には変化が見られた。この結果は、グラファイトを構成する炭素原子が3配位から2配位に変化することにより説明されることから、周りの炭素原子の結合が切れ、グラファイトのサイズが小さくなっているものと考えられる。その配位数からミリング時間30時間における微細なグラファイトのサイズは直径約30Aであることが明らかになった。水素雰囲気中でのミリングではこのダングリングボンドに水素原子が結合していくことが明らかとなった。これにより、巨大分子の創製が可能であることが明らかとなった。Se系のミリングでは長い鎖状分子が切断されて、10原子ぐらいで構成される短い鎖状分子で構成されるアモルファス相が形成されることが明らかとなった。さらにSe-S系のメカニカルアロイングでは環状分子と鎖状分子の混合体となり、液体からの急冷によって形成される分子と全く形態がことなることが明らかとなった。この結果は異なる分子を混合させることにより、今までと異なる分子を合成させることが可能であることを示唆している。
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[Publications] T.Fukunaga,K.Nagano,U.Mizutani H.Wakayama,Y.Fukushima: "Structural change of graphite subjected to mechanical milling" J.Non-Cryst.Solids. 232-234. 416-419 (1998)
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[Publications] T.Fukunaga,S.Kajikawa Y.Hokari,U.Mizutani: "Structure of amorphous Se-S prepared by mechanical alloying" J.Non-Cryst.Solids. 232-234. 465-469 (1998)