1997 Fiscal Year Annual Research Report
多重回折データを用いたセラミックス薄膜の結晶構造解析
Project/Area Number |
09875155
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
虎谷 秀穂 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (20143662)
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Keywords | 組織 / 薄膜 / 結晶構造解析 / 平行ビーム光学系 / 多層膜ミラー / 非対称反射法 / 多重回折データ / パターンフィッティング |
Research Abstract |
本研究は、多重回折データを用いて薄膜試料の組織と結晶構造を同時に解析する方法を確立することを目的としている。ここで多重回折データとは、非対称反射法にて測定された、入射角が異なる複数の回折データの組を意味し、個々の回折データはそれぞれ試料組織の異なる断面を示していると言える。本研究は、1)多重データ解析モデルの製作、2)解析用ソフトウェアの開発、3)実験装置の製作、および4)セラミックス薄膜材料への応用と解析手法の試験、の4段階から構成され、これらを2年間で行う予定になっている。今年度は1)多重データ解析モデルの製作、および3)実験装置の製作を推進し、時間を要する装置整備を先行させた。回折実験においては平行ビーム光学系に基づいた回折装置の使用が必要不可欠であり、この光学系に基づいた薄膜用回折計の整備を進めた。多層膜ミラーを用いた装置を組み立て、その装置の基本性能に関して評価を進め、その結果、強度と分解能に関して解析に使用しえるデータの取得に見通しを得た。この結果に関して、1997年11月に開催された結晶学会にて「多層膜ミラーを用いた実験室系平行ビーム光学装置の開発とその評価」という表題にて研究成果の発表を行った。一方、解析用モデルに関しては、方向に依存した強度計算に対称化された調和球面関数が適していることを明らかにしている。現在、装置の改造を進めるとともに、解析用ソフトウェアの開発に着手している。
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