1997 Fiscal Year Annual Research Report
Bi系高温超伝導酸化物のLiのインターカレーションと二次電池正極材への応用の試み
Project/Area Number |
09875172
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高田 潤 岡山大学, 工学部, 教授 (60093259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 保雄 三重大学, 工学部, 助教授 (60093051)
中西 真 岡山大学, 工学部, 助手 (10284085)
藤井 達生 岡山大学, 工学部, 講師 (10222259)
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Keywords | Bi-2212相 / 電極反応(充放電反応) / Li導入 / インターカレーション / 超伝導転移温度Tc / 格子定数 / 酸素量 / Cu平均価数 |
Research Abstract |
本研究は,極く最近我々が予備的研究で世界で初めて見い出したBi系高温超伝導酸化物(主としてBi_2Sr_2CaCu_2O_z:Bi-2212相)への電気化学的Liインターカレーションを利用し,この超伝導体をLi二次電池の正極材に応用展開することを最終ターゲットとする独創的研究である。 初年度の本年は,Bi-2212相へのLiの電気化学的インターカレーションおよび一部ディインターカレーション挙動をLiの導入量,結晶構造変化,超伝導特性Tcの変化,酸素量と構成イオン(BiとCu)の平均価数の変化を詳細な研究により明らかにすることを目的とした。本研究では,組成Bi_2Sr_2CaCu_2O_zのBi-2212相を研究対象として選び,Li導入後の超伝導体の組成をLi_xBi_2Sr_2CaCu_2O_zと表記した。以下に得られた主な成果を示す。 1.Liの導入量:Bi-2212相を負極,Ptを正極とし,0.1MLiClO_4のPC溶液中で-3.0V〜-1.0Vの一定電位で室温にて充電および放電反応を行って,Bi-2212相へLi^+イオンの導入を試みた。Li^+イオンは充電時間とともにBi-2212相へほぼ放物線則に従って導入されることが明らかとなった。導入速度は電極電位の増加に伴い大きくなる。最高のLi導入量Xmaxは本研究の実験範囲で現時点では0.78である。 2.結晶構造変化:まず,充放電反応によりBi-2212相へ正方晶構造を保ったままLi^+イオンを導入・放出可能であることを明らかにした。更に,格子定数(a,c)はLi^+イオンの導入により増加し,放出によって減少すること,しかもこれらの変化は全く可逆的であることを見い出した。これらの結果は,電極反応によるBi-2212相へのLi^+の導入・放出反応はインターカレーション・ディインターカレーション反応であることを意味している。 3.超伝導特性Tcと酸素量と構成イオンの価数の変化:Tcは少量のLi^+イオン導入では増加し,X〜0.1で最高値Tc=94Kを示した後,Xの増加とともに減少し,X【greater than or equal】0.3で非超伝導体となることを初めて見い出した。さらに,酸素量はLi量Xが増加しても変化しない特徴がある。また,BiとCuイオンの平均価数は,固相反応によるLi導入と異なり,Li量Xの増加とともに減少することを明らか
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[Publications] M.Fujiwara: "Li Doping to the 2212 Phase in the Bi-Sr-Ca-Cu-O System" Physica C. 274. 317-322 (1997)
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[Publications] 藤原正志: "電極反応によるBi-2212相へのLiドープ" 粉体および粉末冶金. 44・2. 142-146 (1997)
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[Publications] 上甲洋文: "Bi-2212相へのPbとLiドープ" 粉体および粉末冶金. 44・8. 792-796 (1997)
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[Publications] M.Fujiwara: "Electrochemical Lithium Intercalation into the Bi-2212 Phase" Physica C. 279. 219-224 (1997)