1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09875203
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤井 輝夫 理化学研究所, 生化学システム研究室, 研究員 (30251474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野島 高彦 理化学研究所, 生化学システム研究室, 基礎科学特別研究員 (00291930)
細川 和生 理化学研究所, 生化学システム研究室, 基礎科学特別研究員
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Keywords | MEMS / μ-TAS / マイクロマシン / マイクロファブリケーション / 生化学 / 酵素反応 / ルシフェラーゼ / タンパク質合成 |
Research Abstract |
マイクロ生化学反応システムを実現するためには,大きく分けて液送,反応,検出,分離の四つの要素技術が必要となるが,本研究では特に前三者に重点を絞っている.これらの要素技術の基礎を固め,また問題点を抽出する目的で,平成9年度は反応素子のプロトタイプを製作し,そのなかでルシフェラーゼ発光反応の実験を行った。 反応素子はシリコンチップ上に異方性エッチングでチャネルを彫り込み,ガラスを陽極接合したもので,チャネルの深さは20ミクロン,幅は200-800ミクロンである.チャネルは合流部を備えており,最も基本的な2液混合が可能である.シリンジポンプにより反応液を一定流量で反応素子内に注入し,ルシフェラーゼ反応によって発する光をCCDカメラによって撮影し,画像解析した. その結果,懸念されていた目詰まりのような問題も起こらず,このスケールにおいて生化学反応およびその検出に致命的な困難はないことが確認できた.ただし,現状の液送方法は次のような問題点を持っていることが明らかとなった.(1)チューブ接続部分にどうしても大きなデッドボリウムが生じる.(2)チャネル内に反応液を長い時間滞留させることが困難である.なぜならシリンジポンプで制御できる流量には下限があり,その下限でもチャネル断面積に対しては大きすぎるからである.(3)反応液の混合が不完全である.このスケールでは反応液が層流をなすため,対流による混合促進が全く起こらないからである.時間を十分かければ拡散によって混合するが,これは上記(2)により困難である. これらの問題の根本的な原因は連続流動による液送方式にあると考えている.今後はこれに代わる方式として,反応液を液滴の状態でハンドリングする技術の開発を進めていく予定である.
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[Publications] 藤井輝夫ら: "A microfabricated reactor for cell-free protein synthesis" Proc.IEEE Engineering in Medicine and Biology Society. 2572-2574 (1997)
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[Publications] 細川和生ら: "Cell-free mRNA translation in amicrobiochemical reactor" Proc. Micromechatronics and Human Science. 91-95 (1997)
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[Publications] 野島高彦ら: "マイクロリアクター内における無細胞蛋白質合成" 日本化学会第73回秋季大会. 218 (1997)
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[Publications] 野島高彦ら: "生化学反応を行うマイクロリアクターの開発" 日本生物工学会大会. 168 (1997)
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[Publications] 藤井輝夫ら: "In vitro protein synthesis on a silicon chip" Proc.JSME New Frontiers in Biomechanical Engineering. 103-104 (1997)
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[Publications] 細川和生ら: "Microbiochemical system for enzymatic reactions" Proc.Advanced Intelligent Mechatronics. 4 (1997)