1997 Fiscal Year Annual Research Report
ゾル-ゲル法による二重分子認識場をもつクロマトグラフィー用シリカゲル固定相の調製
Project/Area Number |
09875205
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大賀 一也 大分大学, 工学部, 教授 (60037992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉内 芳秋 大分大学, 工学部, 助手 (60117398)
江頭 直義 大分大学, 工学部, 助教授 (90094060)
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Keywords | 高速液体クロマトグラフィー / 配位子交換クロマトグラフィー / キラル分離 / ゾル-ゲル法 / 二重分子認識場 / キトサン / アミノ酸 / シリカゲル固定相 |
Research Abstract |
1.被包括高分子の調製:完全脱アセチル化キトサンと種々のα-ケト酸とのシッフ塩基をシアノ水素化ホウ素ナトリウムで還元し,N-(1-カルボキシアルキル)キトサン類(NCAC)を調製した.この際,過酸化水素によって分子量を低めたキトサン(平均分子量20,000-30,000)を用いた場合,より高い置換度のNCACを得ることができた. 2.NCACの分離能の評価:α-アミノ酸ラセミ体を分析物とする銅(II)キラル配位子交換クロマトグラフィーで,得られたNCACのキラル分離能を評価した.NCACは市販のHPLC用シリカゲル表面に銅(II)錯体として被覆しキラル固定相とした.より崇高いアルキル基をもつNCACほど分離能は高く,N-(1-カルボキシブチル)キトサンは,バリンに対して3.35の高い分離係数を示した.また,NCACの置換度を高くすると分離係数が高くなる傾向があり,低分子量のキトサンから合成したNCACではピークの半値幅の減少による分離度の向上も見られた. 3.二次分離場の構築と特性評価:テトラメトキシシランを原料とするW/Oエマルジョン中でのゾル-ゲル操作によって,イオン交換能をもつキトサンを包括したシリカゲルビーズを調製した.粒子径は添加した界面活性剤Span80の濃度に大きく依存し,5wt%/20mlデカリンでHPLC用として適当な5μmに最大値をもつ粒度分布を得た.表面積は約600m^2/gであった.一方,市販のHPLC用シリカゲル表面にゾル-ゲル法でキトサンあるいはNCACを包括したシリカゲルを被覆する方法も検討し,この方法がより簡便で効率的な二次分離場の構築法であることが分かった. 4.今後の展開:シリカゲル表面のシラノール基上への疎水認識部位,シス-ジオール認識部位,疎水的包接部位等の一次分離場の構築法を検討し,二重認識場を有するシリカゲルの調製法を確立する予定である.
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