1998 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン表面の原子レベルでの平坦化に関する電気化学的手法を用いた研究
Project/Area Number |
09875211
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松村 道雄 大阪大学, 有機光工学研究センター, 教授 (20107080)
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Keywords | シリコン / 表面 / 電気化学 / 溶解 / 酸素 |
Research Abstract |
化学的脱酸素剤である亜硫酸塩を低濃度添加した水にSi(111)面を浸し、表面原子構造への影響を調べた。その結果、室温の溶液においてSi (111)面が極めて容易に平坦化することを見出した。例えば、室温の0.05M亜硫酸アンモニウム水溶液で20分間処理を行った後のSi(111)表面は原子レベルで平坦化され、MIII観察により明瞭なテラスとステップ構造が見られた。水によるSi(111)の溶解あるいは表面平坦化は従来ほとんど知られていなかった現象である。そこで、その詳細を調べるために室温の0.05M亜硫酸アンモニウム水溶液中でのSi (111)面のAFM測定を行い、溶解過程のその場観察に初めて成功した。また、その観測結果から、溶解はおもにステップエッジ部分から進行すること、また、室温におけるステップの後退速度が約8nm/minであることを見出した。 フッ化アンモニウム水溶液はSl(111)面の平坦化のみならず、シリコンの処理行程において頻繁に用いられる。水溶液中において、溶存酸素が平坦化に大きな影響を及ぼすことが見出されたことから、フッ化アンモニウム水溶液中の溶存酸素がSi(111)面の平坦化に及ぼす効果を調べた。その結果、亜硫酸アンモニウムを添加して溶存酸素を除去した系では、溶存酸素を含む溶液と比べて平坦化に要する時間が著しく短縮されることがわかった。また、現れるステップの形状にも溶存酸素が影響を与えることを見出した。これらの影響は、溶存酸素が主にSi(111)面のステップ部分に吸着してその部分での溶解を阻害するために起こると考えられる。電気化学測定からもこのことをを支持する結果が得られた。
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Research Products
(1 results)