1997 Fiscal Year Annual Research Report
主鎖がロータキサン.カテナン結合によって形成された新構造高分子の合成と性質
Project/Area Number |
09875233
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 将人 東京工業大学, 工学部, 助教授 (20179253)
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Keywords | ロータキサン / カテナン / 新構造高分子 |
Research Abstract |
研究計画に基づき、モノマーとなるロータキサンおよびカテナンの合成を試みた。すなわち、重付加あるいは重縮合可能な官能基を環部分と棒部分に1つずつ持つロータキサンとそれらの官能基を2つの環に1つずつ持つカテナンである。1)重合性カテナン:アミド基の水素結合性をうまく利用して比較的収率よくカテナン骨格を生成する例が報告されているので、それらに2つのフェノール性のヒドロキシル基を導入することを考えた。具体的には、4-メトキシイソフタル酸ジクロリドに2倍量の1,1-ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルフェニル)シクロヘキサンを塩基存在下作用させ、対応するジアミドジアミンを合成した。これにイソフタル酸ジクロリドを反応させることによってモノマー前駆体となるカテナンを得た。続いて、その2つのメトキシ基をシアン化ナトリウムでヒドロキシル基に変換し、目的とする重合性カテナンを合成することができた。現在、その重合反応について検討を加えている。また、同様の手法によって、4-メトキシイソフタル酸ジクロリド、2倍量の4-(アミノメチル)フェノール、セバシン酸ジクロリドから、別の骨格をもったカテナンの合成を行い、脱保護による重合性カテナンへの変換を試みている。2)重合性ロータキサン:当初、既報に則り大環状ヒドロキシケトンと長鎖のジオールから目的とする重合性ロータキサンを合成しようとしたが、設計どうり反応が進行せず、結局、上記のカテナン合成に用いた骨格を流用してロータキサンを合成することとした。現在、その途中の段階である。以上、合成上の問題にによりモノマーとなるロータキサンおよびカテナンの合成に予想以上に手間取り、当初の計画に比べてかなり研究の進展が遅れているが、これまで得られた知見を活かし、目的の達成に向けて努力を続けている。
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