1997 Fiscal Year Annual Research Report
均一メソ多孔質高分子薄膜の創成とこれに基づく有機/無機複合材料の開発
Project/Area Number |
09875246
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 猛 京都大学, 化学研究所, 助教授 (00111972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 敬亘 京都大学, 化学研究所, 助手 (00217308)
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Keywords | 陽極酸化アルミナ / ナノポアハニカム構造 / 高分子薄膜 / 二段レプリカ / ラジカル重合 / PMMAネガ型レプリカ / シリンダー状PMMA |
Research Abstract |
アルミニウムを適当な電解質溶液中で陽極酸化すると、表面に多孔質アルミナ皮膜が生成する。最近、陽極酸化条件を制御することにより、数10nmの細孔が規則配列したハニカム構造を有し、かつ、欠陥のきわめて少ない多孔質アルミナの作成が報告されている(H.Masuda and K.Fukuda Science,268,1466,1995)。本研究は、この多孔質アルミナ皮膜をテンプレートとして用いる二段レプリカ法により、ナノメートルオーダーの規則性ハニカム構造を有する高分子薄膜の創成を目的とする。このような均一メソ多孔質高分子薄膜は、その細孔への機能性物質の充填により、新世代の電子素子、光・磁気材料など新規な機能性薄膜としての応用が期待される。その第一ステップとして高分子ネガ型レプリカの作成を試みた。 高規則性陽極酸化アルミナ皮膜は益田らの方法に従い調製した。SEM観察によると、この皮膜の細孔径は約50nm、膜厚は約200μmであった。細孔径および膜厚は、作成条件により制御可能であった。 次に、過酸化ベンゾイルを開始剤として添加したメタクリル酸メチル(MMA)を真空脱気下、アルミナ皮膜の細孔に充填し、窒素雰囲気下、40℃で4時間重合した。続いて、10wt%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することによりアルミナ層を溶解除去し、高分子薄膜を得た。SEM観察によると、直径数10nmのPMMAシリンダーの形成が確認された。シリンダー径(数10nm)に比してシリンダー長(約100μm)が非常に長いために個々のシリンダーは互いに凝集しているが、深さ100μmにも及ぶ細孔にPMMAがほぼ完全に充填されていることが判明した。アルミナ薄膜の膜厚を薄くすることにより、膜面に直立したポリマーシリンダーが規則正しく配列した構造を作成可能であると考えられる。
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