1997 Fiscal Year Annual Research Report
極低温液体中のレーザーキャビテーションを利用した表面処理
Project/Area Number |
09875248
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
前野 一夫 千葉大学, 工学部, 助教授 (30133606)
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Keywords | 極低温液体 / 液体窒素 / パルスレーザー / 気泡力学 / リバウンド / 気泡崩壊 / 高速撮影 / 気泡・固体壁干渉 |
Research Abstract |
本研究の遂行により、宇宙航空分野の技術発展に伴う長時間の極低温ポンプ・配管などの作動の可能性、あるいは超伝導技術に関連したキャビテーション気泡力学の基礎研究として、まず極低温の液体窒素中へのパルスYAGレーザーの照射によって生じるプラズマと、それに引き続く蒸気気泡の急速な膨張に伴う球状衝撃波の伝播、および蒸気気泡の成長と収縮、さらに気泡のリバウンドとその後の気泡表面の不安定性等の現象が高速度可視化実験により解明された。さらに、この可視化実験により得られた気泡等価半径の時間的挙動と、相変化を含む数値解析の結果および常温の水に対する他の実験を比較する事により、初期の気泡膨張、最大半径後の収縮と、リバウンドおよび2度目の極大点までをシミュレートする凝縮係数の推定が可能となり、実験と解析結果との比較により凝縮係数値0.02-0.04程度の値を得た。また、固体壁面での壊食と加工問題に関連して、黄銅板、鉛板を用いて、大気圧条件あるいは加圧条件下において固体平面壁近傍で生成された液体窒素中の気泡挙動の実験より、気泡の変形挙動と液体ジェットの形成、およびジェットと固体壁の干渉、さらに気泡位置の時間変化などが解明され、極低温液体中のパルスレーザー照射による干渉問題の、通常温度域の液体(高サブク-ル度の水など)における干渉問題との類似点、相違点が解明された。さらに繰り返し実験後の固体壁面の拡大顕微鏡写真により、表面の壊食状況が明かにされたが、詳細な実験を繰り返すことができず、今後の研究課題となった。得られた結果と考察は後述のように内外の学会講演で公表されており、他の学会誌にも発表予定である。
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[Publications] Kazuo-Maeno, 他3名: "Behavior of Pulse-Laser-Induced Cavitation Bubble in Liguid Nitrogen" Proc.21st International Symposium on Shock Waves. Paper No.2850. 1-6 (1997)
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[Publications] 前野一夫, 他4名: "極低温液体中でパルスレーザーにより生成された気泡のダイナミクス" 第29回流体力学講演会講演集(日本航空宇宙学会). 145-148 (1997)
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[Publications] 前野一夫, 他3名: "極低温液体中のパルスレーザー誘起気泡の挙動" 第41回宇宙科学技術連合講演会. Paper No.97-I-9. 1-6 (1997)
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[Publications] 前野一夫, 他3名: "液体窒素中のレーザー誘起キャビテーション挙動について" 高速度撮影とフォトニクスに関する総合シンポジウム. 講演論文集. 59-62 (1997)
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[Publications] 角田洋介, 他5名: "極低温液体窒素中でパルスレーザーにより生成される気泡挙動の解明" 平成9年度衝撃波シンポジウム講演論文集. 103-106 (1998)