1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09876001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐野 芳雄 北海道大学, 農学部, 教授 (70109528)
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Keywords | 交雑親和性 / 情報認識 / 雌雄分化 / 遺伝子単離 / イネ |
Research Abstract |
一方向的交雑不親和性は、ある交雑組み合わせで雑種種子が得られないが、その逆交雑では正常な雑種種子が得られる現象である。「減数分裂以前に雌親で発現した情報が花粉親を認識して雑種種子の異常を引き起こす」という仮説を検証するために、本年度はまず遺伝学的見地から解析した。雌雄器官での発現と遺伝子相互作用を調査した結果、仮説の妥当性がほぼ証明された。一方向的交雑不親和性の現象解明には、雌側と雄側に関与する因子を分けて調査するための遺伝系統の確立がまず必要となる。現在、少なくとも3つの遺伝子がクラスターを形成すると考えられるが、組換えによって遺伝検定可能な系統を育成することが出来た。その検定交雑によると、関与遺伝子は3つ存在し、いずれも芽胞体内に働くことが明らかになり、このことは上記の仮説を強く支持していた。交雑後の胚発生を詳細に細胞学的に観察したところ、受精後2-4日から胚と胚乳の異常が認められた。このことは、減数分裂以前に発現した雌雄側からの情報が受精後の胚発生の異常を起こして配偶者を選択できることを示している。雄側反応遺伝子を持つ準同質遺伝子系統を用いて、花粉形成時のタンパク質を2次元電気泳動法により分析した。その結果、優性の雄側反応遺伝子を持つ系統特異的に発現するポリペプチドが4種見出された。今後、これら4種のポリペプチドをコードする遺伝子の染色体座乗位置を詳細に調査し、雄側反応遺伝子の単離にむけて研究を進めていきたい。また、花粉で発現するRNAについても、既にcDNAライブラリーを作成し、雄側反応遺伝子を持つ系統特異的な分子種の同定を進めている。
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