1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09876008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 信男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30012040)
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Keywords | 抽だい / レタス / フルクタン / 乾物分配 |
Research Abstract |
抽だいはロゼットを示す植物の茎が伸長を始める現象である。一般に野菜類では抽だいは花芽分化後に起こることが多く,花芽分化が抽だいの誘因と考えられているが,両者の関係については明確な結論が得られてはいない。この原因は,抽だいは(a)茎の伸長に先立って貯蔵養分の蓄積が始まる,(b)茎の伸長に十分な量の養分が蓄積する,(c)茎が伸長を始め,貯蔵養分の分解が起こる,という3つのプロセスから成り立っているにも関わらず,抽だいの判定が茎の伸長だけを基準に行われていることにある。したがって,花芽分化と抽だいの因果関係を明らかにするためには,抽だいのプロセスを前述のように3つに分けて議論を進める必要がある。そこで,抽だいが誘起される高温長日条件下で半結球性レタスを栽培し,抽だい過程における茎の貯蔵炭水化物であるフルクタンの消長を調査した。その結果,抽だいの過程ではロゼット状態の植物とは異なり,茎のフルクタンレベルは低く維持されていることが明らかとなった。また,ロゼット状態にある植物では茎と葉への乾物分配はアロメットリックな関係にあるが,抽だい過程では茎への乾物分配の割合がステージとともに上昇していくことが明らかになった。また,花芽の分化時期は茎の伸長過程が始まってからのことで,花芽分化前後で茎の伸長,乾物分配に明確な差は認められなかった。したがって,花茎の伸長と抽だいとは異なる現象であると推論した。現在,茎頂の細胞分裂活性や細胞の長さの経時変化と抽だいとの関連性を調査中である。
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