1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09876012
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岩淵 喜久男 東京農工大学, 農学部, 助教授 (00203399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 毅 東京農工大学, 農学部, 助手 (10238339)
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Keywords | Papilio protenor / Trogus mactator / host-parasitoidrelationships |
Research Abstract |
クロアゲハとその寄生蜂アゲハヒメバチ(以下ハチ)の関係について、本年度は神奈川県横須賀市より採集したハチと横須賀市、山梨県甲府市、および東京都府中市産のクロアゲハとの寄生関係を中心に調べた。寄生2日目(幼虫孵化時)にハチ胚子を寄生幼虫より摘出し、状態を観察した結果、クロアゲハの産地に関わらず、寄生成功したものと失敗したものがそれぞれ約50%存在することが明らかとなった。なお、ナミアゲハについては産地によらず100%の寄生成功が認められた。また、予備調査として甲府産のハチについても調べたが、成功率は低い可能性が示された。クロアゲハに対する寄生失敗の原因を明らかにするため、ハチ卵の摘出観察ならびに移植実験をおこなった。その結果、原因は主に寄生血液細胞の包囲化作用によるハチ胚子の発生停止によるものであり、一部でメラニゼーションの関与も示唆された。包囲化の対象となるものは産卵直後の卵であり、寄生1日後の卵および孵化直後の幼虫については未寄生クロアゲハ幼虫に移植した場合でも包囲化を受けないことが示された。一方、寄生に成功したものでは包囲化は見られないか、少ないものであった。さらに、ナミアゲハ幼虫に対しては卵の包囲化は全く観察されないことから、クロアゲハとハチの寄生関係には、ハチ卵表面物質または寄生体液、あるいはその両方が関与するものと推察された。
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