1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09876012
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岩淵 喜久男 東京農工大学, 農学部, 助教授 (00203399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 毅 東京農工大学, 農学部, 助手 (10238339)
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Keywords | Papilio protenor / Trogus wactator / host-parasitoid relationship |
Research Abstract |
山梨県増穂町産の寄生蜂アゲハヒメバチと甲府産寄主クロアゲハを用い、寄生蜂卵に対する生体防御の状況と寄生蜂幼虫の孵化までの寄生成功について調べた。その結果、13例の寄生成功率は54%であり、昨年調べた神奈川県三浦産のものと差異は認められなかった。しかし、いずれの場合にも生体防御とその回避は完全なものではなく、その原因をさぐるため、クロアゲハ血球のphagocytosisとencapsulation能について調べた。5齢幼虫の体内にマイクロビーズを注入し、1時間後に血球の反応を観察した。その結果、防御を全く受けなかったビーズの割合は、0-53%と個体差があり、ナミアゲハの0-7%と大きく異なった。さらにナミアゲハでは、アゲハヒメバチによる寄生を受け、その直後にビーズを注入したものでは、血球の反応は62%まで抑制されたが、クロアゲハではこのような抑制は見られなかった。この抑制はアゲハヒメバチのvenomでも誘導されたが、この場合にもクロアゲハでは抑制は認められなかった。したがって、クロアゲハはもともと寄生の有無によらず、血球による生体防御に個体差が大きく、そのため寄生成功するものが現れること、ナミアゲハでは、もともと血球の反応は強く、個体差も小さいが、アゲハヒメバチはvenomによりこの血球による防御を回避し、完全な寄生成功を可能にしているものと推察された。
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