1998 Fiscal Year Annual Research Report
重イオンマイクロビームの局部照射がカイコの初期発生に及ぼす影響
Project/Area Number |
09876016
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
木口 憲爾 信州大学, 繊維学部, 教授 (50262697)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 恭彦 日本原子力研究所, 高崎研究所, 研究員(研究職)
渡辺 宏 日本原子力研究所, 高崎研究所, 部長(研究職)
金勝 廉介 信州大学, 繊維学部, 助教授 (60092871)
|
Keywords | カイコ / 重イオンマイクロビーム / 局部照射 / 初期発生 |
Research Abstract |
日本原子力研究所高崎研究所では、宇宙線の生物影響や細胞操作技術の開発を目的として、重イオンマイクロビーム細胞局部照射装置の開発を進めている。本研究では、この最新装置を用いていろいろな発生段階のカイコ卵に局部照射し、発生過程に及ぼす影響を解析するとともに、カイコ胚細胞の非外科的微細手術が可能かどうか検討を進めている。 本年度は、まず、カイコの遺伝的な非休眠系統pnd pSの細胞性胞胚期卵の側面中央に炭素イオン(^<12>C^<5+>,18.3MeV/u,水中飛程:1.2mm)を局部照射し、臨界照射面積および臨界線量を調べた。その結果、線量を500Gy一定としてビーム径を変化させた場合は、90μmφ以下では発生になんら影響がみられなかったが、120μmφ以上でクチクラの形態に異常が誘導されはじめ、臨界照射面積はほぼ150μmφであることが分かった。また照射面積を250μmφ一定とした場合の臨界線量は40-50Gyであった。また、照射位置とクチクラ異常の発生部位との間に密接な対応関係があることが分かり、これに基づき、まだ不十分ではあるが細胞性胞胚期卵の発生運命予定図(fate map)を作出した。続いて、同様に細胞胞胚期卵の側面中央に炭素イオンとネオンイオン(^<20>Ne^<8+>,17.5MeV/u,水中飛程:約0.7mm)を局部照射し、イオン種の違いが発生に及ぼす影響を調べた。その結果、炭素イオンでは胚子の左右対照に欠損等の異常が誘導されるのに対して、ネオンイオンでは左右の片側一方に影響が現れる場合が多いことが分かった。また、照射後、卵を固定して照射部位の核・細胞の形態変化を調べたところ、照射により損傷を受けた核・細胞は大型化し、その後脱落すること、その脱落部位に周囲の正常な核・細胞が侵入し修復される場合があることが明らかになった。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Kiguchi, K., S.Yamasaki, Z.L.Tu, Y.Kinjoh, Y.Kobayashi and H.Watanabe: "Effects of heavy ions on embryogenesis in the silkworm, Bomhyx mcri : Comparison of radiation effects among three different ions." JAERI-Review. 98-016. 38-40 (1998)