1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09876017
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安藤 忠男 広島大学, 生物生産学部, 教授 (90034470)
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Keywords | 土壌生態系 / 一酸化炭素 / 大気浄化 / 酸化 / 加熱 / アルカリ処理 / カオリナイト / 土壌殺菌 |
Research Abstract |
土壌生態系からの一酸化炭素(CO)の放出機構を明らかにする目的で一連の実験を行った。まず土壌からのCO放出に及ぼす温度の影響を検討した結果、COの放出は65℃以上で認められ、100℃以上で顕著に増加した。65℃以下では土壌のCO生産量の低下とともに生産されたCOが土壌に再吸収されるため、放出が認められなくなるものと推測された。 ついで土壌放出COの起源が土壌微生物か否かを検討するため、土壌を抗生物質や凍結処理で部分殺菌した。しかし、いずれの処理でもCOの放出は認められなかったことから、土壌微生物の死滅が直ちに土壌からのCO放出を招くものではないことが明らかとなった。 一方、KMnO_4、過ヨウソ酸塩、過酸化水素水などの酸化剤や生石灰などで土壌を処理するとCOの放出が認められた。また、加熱、酸化、アルカリ処理による土壌からのCO放出量は土壌中の有機態炭素濃度の増加に伴って増加する傾向を示した。 土壌中のCO起源物質を明らかにするため、CO吸収を示さない石英砂と粘土鉱物からなる人工土壌を作成し、これに種々の有機化合物を添加して、加熱、酸化、アルカリ化処理をした。その結果、処理によりCO放出量は異なったが、一般にfructose等の糖類から多量のCOが放出され、starchやcelluloseからはCOが放出されなかった。また、石英砂だけではCOの放出が認められず、カオリナイトの存在量がCO放出に大きく影響した。 土壌中のCO放出源は特定できなかったが、CO基などの反応基を有する化合物が加熱、酸化、アルカリ化で何らかの化学反応を誘発し、土壌からCOを放出させたことを示唆している。また、これらの反応は通常の土壌条件下でも生じうるが、土壌が一般に強いCO吸収能を示すために、土壌のCO吸収能が著しく低下した条件下で始めてCOが土壌から放出されるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] ANDO, Tadao: "International Conference on Carbon monoride and its Environ-mental Effects, Proceedings" US Environmental Protection Agency and Portland State University, (1998)