1997 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外に有用物質を分泌する炭酸固定微生物を育種するための細胞融合技術の開発
Project/Area Number |
09876029
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石崎 文彰 九州大学, 農学部, 教授 (20183163)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 元太 九州大学, 農学部, 助手 (40291512)
田中 賢二 九州大学, 農学部, 助手 (20236582)
園元 謙二 九州大学, 農学部, 助教授 (10154717)
|
Keywords | 化学合成独立栄養細菌 / 細胞融合 / 水素酸化細菌 / エレクトロポレーション |
Research Abstract |
我々は大気中の炭酸ガス濃度上昇抑制技術の開発を目的として、炭酸固定微生物のなかでも増殖の速い化学合成独立栄養細菌を用いた有用物質生産系について研究を行っている。既に、水素酸化細菌を用いて炭酸ガスから生分解性プラスチック素材を効率よく生産する発酵プロセスの開発に成功している。しかし、水素酸化細菌を含めて化学合成独立栄養細菌は、細胞外(菌体外)へはいかなる代謝産物も分泌しない。微生物の細胞内から目的生産物を回収することは容易ではなく、工業生産ではこれが大きなネックとなる。そこで、本研究では、化学合成独立栄養細菌において菌体外に有用物質を分泌する変異株の育種と、これを可能にする遺伝子操作技術について開発・検討を試みた。具体的には、水素酸化細菌の野生株が持つ炭酸固定系や水素代謝系等の遺伝子を、細胞融合等の方法によって他の微生物や、独立栄養的な代謝能を失った化学合成独立栄養細菌の変異株に導入について研究を行っている。平成9年度では、細胞融合条件の至適化と融合株の選択・検出法について検討を行った。その結果、A.eutrophusを通常の方法で細胞融合させるのはかなり困難なことがわかったので、電気パルス遺伝子導入装置をつかった融合を試み、処理条件およびプロトプラスト調製の最適化、融合株選択のための培養と検出方法について検討した。そして、有機酸による培地の変色を指標とする融合株検出法を開発し、多数の融合株を得ることができた。しかし、融合株の独立栄養的な増殖能はやはり非常に消失しやすく、継代培養できなかった。融合操作と培養に使用する緩衝液や培地の組成、とくに浸透圧の影響について今後検討が必要と思われた。
|