1997 Fiscal Year Annual Research Report
海綿Mycale sp.におけるmycalolide類の真の生産の特定および培養
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09876053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 茂樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60183951)
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Keywords | 海綿動物 / 細胞毒性 / マクロライド / アクチン / 脱重合 |
Research Abstract |
五ヶ所湾において海綿Mycale sp.を採集し、その中に存在するミカロライド類の同定を行った。その結果、1997年夏期に採集したものに含まれるミカロライド類のなかではミカロライドCが主成分で、ついでミカロライドBが多く存在することが判明した。従来、ミカロライドBが本海綿の主成分であったことを考慮すると、ミカロライド類の生合成パターンは変化しやすいという知見を得た。 つづいて、フォークナ-らの方法を参考にして、海綿細胞の分画を行った。まず、採集した海綿をフォルマリン含有海水で処理し、細胞を固定した。ついで、海綿組織をジューサ-にかけ、海綿細胞を解離させた。得られた細胞浮遊物を、段階的遠心分離あるいはパーコール密度勾配遠心分離を用いて分画した。得られた画分を染色後光学顕微鏡で観察したところ、細胞分画実験は成功し細胞の大きさにしたがって、分画されていることがわかった。そこで、各画分を酢酸エチルで抽出後、薄層クロマトグラフィーで分析しミカロライド含量を調べた。予想に反して、どの画分にもミカロライドは検出されなかった。フォルマリンによりミカロライドが分解した可能性を考え、ミカロライドをフォルマリンの存在下海水中に放置したが、変化は見られなかった。しかし、ミカロライドが含まれている海綿をフォルマリン含有海水中に放置するとミカロライドが抽出されなくなることから、海綿の固定にフォルマリン海水を使用できないという知見が得られた。
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