1997 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類におけるビタミンAの新しい作用とその機構に関する研究
Project/Area Number |
09876071
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
久保 辰雄 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10008021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 久典 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (40211164)
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Keywords | ビタミンA / レチノイン酸 / ウズラ / 卵胞刺激ホルモン / 精巣 / メラトニン / 概日リズム |
Research Abstract |
ウズラにビタミンAの代わりにレチノイン酸を給餌するとその性成熟が促進されることを既に当研究グループが見出しているが、本研究のこれまでの過程で、その機構について遺伝子レベルで解析した。卵胞刺激ホルモン(FSH)は性腺の発育に不可欠であるが、そのレセプターのmRNAが性腺発達過程で一過性に上昇することを見出した。レチノイン酸食を給餌すると、その上昇の時期が早まることを発見した。また、哺乳類においてレチノイン酸レセプターβ(RARβ)の遺伝子発現はビタミンAに依存していることが知られているが、ウズラにおいてはビタミンAによって組織により発現が上昇、減少、あるいは変化がないなど著しい組織特異性が存在することを明らかにした。さらに精巣発育過程においてこの遺伝子も一過性に上昇すること、レチノイン酸によってその上昇が早まることなども明らかにした。レチノイン酸やビタミンAを注射すると、レチノイン酸の注射の場合の方が早くRARβのmRNAを増加させることなどから、レチノイン酸による性成熟促進作用の機構として、ウズラにおいてレチノイン酸が速やかに精巣に取り込まれ、これがFSHレセプター、RARβその他の遺伝子発現を上昇させることが仲介していると結論された。一方、概日リズムや繁殖に関わっているメラトニンの合成は、松果体で行われるが、その合成の律速酵素であるセロトニンN-アセチルトランスフェラーゼ(AANAT)の活性やmRNAの日内変動は、ウズラのビタミンA栄養に依存していることを明らかとした。さらに夜間に光を照射した場合のAANATの遺伝子発現の低下もビタミンA欠乏で失われることから、鳥類の松果体のAANAT合成リズムにはビタミンAが不可欠であることを初めて明らかにした。
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