1997 Fiscal Year Annual Research Report
胚性幹細胞の分化を制御するレセプター遺伝子の同定と機能の解析
Project/Area Number |
09876081
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
国枝 哲夫 岡山大学, 農学部, 助教授 (80178011)
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Keywords | ES細胞 / レセプター / 細胞分化 / チロシンキナーゼ / TGFβ / PCR |
Research Abstract |
ES細胞を用いた遺伝子欠損マウスの作製は、遺伝子の機能を解析する上で有効な方法であり、家畜においても特定の遺伝形質を導入する上でES細胞の利用は有効な方法と期待されているが、残念ながら現時点ではマウス以外の動物のES細胞は未だに樹立されていない。ES細胞の樹立に必要とされる細胞の未分化な状態の維持に影響を与える要因の一つに、細胞膜上のレセプターとリガンドを介した細胞間相互作用が考えられる。そこで本研究は、ES細胞において発現しているレセプターの遺伝子を同定し、ES細胞に分化に関与するリガンドとレセプターの相互作用を解明することを目的とした。 ES細胞の分化における細胞間相互作用には多数の分子が関与すると考えられるが、特に細胞膜上のレセプターに関しては、2つの遺伝子ファミリーに属するレセプター、すなわちチロシンキナーゼ型レセプターおよびTGFβレセプター遺伝子ファミリーが、重要な役割を果たしていると考えられる。これらのファミリーに属する分子は、アミノ酸配列上相同性の極めて高い領域が存在することから、本研究ではこの領域に基づいてES細胞に発現するレセプター分子を同定することを試みた。マウスES細胞をフィダ-細胞を除去した条件で培養し、RNAを抽出した。各ファミリーのレセプターのアミノ酸配列上相同性の高い領域について、縮重型のプライマーを作製し、マウスES細胞由来のRNAを用いてRT-PCR法による増幅を行い、得られたPCR産物をクローニングしその塩基配列を決定した。その結果、いくつかのクローンが得られたが、いずれのクローンも既知のものと同一であり、新規の配列は得られなかった。現在、プライマーの配列を変更し、再度クローニングを試みている。
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[Publications] Simonaro et al.: "Bone marrow transplantation in newborn・・・・・" Transplantation. 63. 1386-1393 (1997)
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[Publications] Tsuji et al.: "Cloning and mapping of the mouse Gpx2・・・・・" J.Vet.Med.Sci. 60 (印刷中). (1998)
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[Publications] Kunieda et al.: "The gene encoding anti-Mulerian hormone・・・・・" Mamm.Genome. 9 (印刷中). (1998)
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[Publications] 国枝哲夫: "家畜遺伝性疾患の原因遺伝子解明へ向けた・・・・・" 獣医臨床遺伝研究会誌. 5. 3-8 (1997)