1998 Fiscal Year Annual Research Report
水棲哺乳動物における複合汚染状況を考慮した生体毒性学的研究
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09876084
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩田 久人 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (10271652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
数坂 昭夫 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (00002113)
藤田 正一 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10143314)
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Keywords | トリブチルスズ化合物 / ビスフェノールA / GFAP |
Research Abstract |
トリブチルスズ(TBT)は、アザラシやイルカなどの海洋哺乳類にも高濃度に蓄積されることが最近報告された。また、ビスフェノールAは、体内でエストロゲンのような作用を示し、胎児期に曝露を受けたラットで精巣の発達不良や精子数の減少が報告されている。しかしながら、こうした内分泌撹乱化学物質の中枢神経系に対する影響は明らかにされていない。そこで、本研究では神経毒性的な損傷のマーカーであるグリア繊維酸性タンパク質(GFAP)に着目し、TBTやビスフェノールAの環境レベルでの曝露が中枢神経系に及ぼす影響について調べた. 妊娠Wistar rat(10週令)は4つのグループに分け、妊娠6日目から離乳(postnatal 22-23 days)するまで0.01・1mg/kg body wtのTBT、もしくは0.025・0.25mg/kg body wtのビスフェノールAをそれぞれのグループに毎日経口投与した。離乳後のラットは各グループ別に継続投与するグループとしないグループに分け、投与するグループの個体には母親と同濃度のTBTやビスフェノールAを解剖する前日まで投与した。解剖は生後65-67日に行い、視床下部を摘出後、Northern analysisによってGFAP mRNAレベルを測定した。 ビスフェノールAやTBTの曝露を受けた雌グループでは各群ともにGFAPmRNAの増加傾向が見られた。一方、雄のグループではコントロール群と比べGFAPmRNAレベルに差は認められなかった。GFAP mRNAレベルはアストログリアの損傷、または神経細胞の損傷による二次的な反応によって増加することが知られている。本研究の結果は、TBTやビスフェノールAの暴露がこれまでの投与実験よりも低いレベルであったとしても、雌特異的にアストログリアの活性を介した神経毒性が引き起こされる可能性を示唆している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hoshi,H.: "Organochlorine pesticides and polychlorinated biphenyl congeners in wild terrestrialmamals and birds" Chemosphere. 36・15. 3211-3221 (1998)
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[Publications] Ishizuka,M.: "Accumulation of halogenated aromatic hydrocarbons and activities of cytochrome P450" Environ.Toxicol.Chem.17・8. 1490-1498 (1998)
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[Publications] Tanabe,S.: "Butyltin Contanination in marine mamanals from North Pacific" Environ.Sci.Technol.32・2. 193-198 (1998)
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[Publications] Iwata,H.: "Enantioselective accumalation of α-HCH in northern fur Seals" Environ.Sci.Technol.32・15. 2244-2249 (1998)
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[Publications] Jerzy,F,: "Polychlorinated bipremyls and DCs in water of the Vistula River." Organohalogen Compounds. 39・1. 215-219 (1998)
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[Publications] Jerzy,F.: "Seasomal Concentration of PcBs and DCs in the ambientair" Organohalogen Compounds. 39・1. 219-222 (1998)
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[Publications] 岩田久人: "沿岸の環境圏" (株)フジ・テクノシステム, 890 (1998)