1997 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素(NO)は植物の細胞内情報伝達物質として機能しているか?
Project/Area Number |
09876093
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山形 裕士 神戸大学, 農学部, 助教授 (00159203)
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Keywords | 一酸化窒素 / cGMP / 植物分子生物学 / シグナル伝達 / 光シグナル伝達 |
Research Abstract |
植物における細胞内伝達物質としてのNOの機能を検討するため、特に光シグナル伝達との関連に焦点を当て以下の研究を行った。 暗所適応したダイズの光独立栄養培養細胞(SB-P細胞)の培養液中にNO発生剤(sodium nitroprusside,SNP)を添加し、光やcGMPによって発現誘導されるカルコン合成酵素(chs)遺伝子のSNPによる発現誘導をノーザン分析によって調べた。その結果、chsの発現は光やcGMPによる誘導と同様のキネティクスでSNPによっても誘導され、その誘導は光やcGMPによる誘導と同様にチロシンキナーゼ阻害剤(genistein)で阻害された。また、chs以外の3種類のアントシアニン合成酵素遺伝子の発現が、光やcGMPと同様にSNPによって誘導された。従って、NOはcGMPをセカンドメッセンジャーとする光シグナル伝達経路の仲介物質として機能していることが明らかになった。 NOの主要な作用点はグアニル酸シクラーゼの活性化とそれに続く細胞内cGMP濃度の上昇と考えられた。NO濃度の光照射による変動の検出は困難であるため、細胞内cGMPの濃度の変動をELISAで測定した。その結果、暗所適応させたSB-P細胞に光照射後、約10分後にcGMP濃度の一過的上昇を認めた。このことから光によるNO濃度の変化はcGMP濃度の増加に先立ち10分以内に起こることを推測した。 さらに、植物からNOSをクローニングするため、動物のNOSの塩基配列の保存領域から作製したオリゴヌクレオチドをプライマーとして、数種の植物のゲノムDNAに対してPCRを行ったが、未だNOS遺伝子の単離には至っていない。以上の結果、NOが植物細胞において細胞内情報伝達物質として機能していることが推察されたが、引き続きNOSのクローニングと生化学的同定を行う計画である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Gunther Neuhaus: "Phytochrome-regulated repression of gene expression requires calcium and cGMP." EMBOJ.16(10). 2554-2564 (1997)
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[Publications] Hiroshi Yamagata: "Molecular cloning and characterization of a cDNA encoding early light-inducible protein from soybean(Glycine max L.)." Biosci.Biotech.Biochem.61(12). 2143-2144 (1997)
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[Publications] Hiroshi Yamagata: "Molecular cloning of two cDNAs encoding small GTP-binding proteins from dark-adapted soybean suspension-cultured cells(accession Nos.U58853,U58854)(PGR97-181)." Plant Physiol.115(4).
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[Publications] Hiroshi Yamagata: "Molecular cloning of two cDNAs encoding small GTP-binding proteins from dark-adapted soybean suspension-cultured cells(accession Nos.U58853,U58854)(PGR97-181)." Plant Physiol.115(4). (1730)
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[Publications] Hiroshi Yamagata: "Molecular cloning and characteriztion of a cDNA encoding asparagine sythetase from soybean(Glycine max L.)cell cultures." Biosci.Biotech.Biochem.62(1). 148-150 (1998)